積水化成品工業
PLAのIBM新技術
日精樹脂、ハイケムと共同で開発
PLAで新たな需要開拓
積水化成品工業(柏原正人社長)は、日精樹脂工業(依田穂積社長)およびハイケム(本社・東京都港区、高潮社長)との3社共同で、生分解性プラスチックであるポリ乳酸(以下、PLA)のインジェクション・ブロー・モールディング(以下、IBM)成形品分野で新技術を開発した。
積水化成品工業とハイケムは、かねてから戦略的基本提携契約に基づき生分解性材料の開発や拡販の相互協力を推進してきたが、今回、日精樹脂工業と提携。これまで製造が困難とされていたPLAのIBM技術を開発した。積水化成品工業の樹脂改質技術やリサイクル製品の開発力、ハイケムの中国における生分解性材料の原料調達力や開拓力、日精樹脂工業の射出成形機および金型技術、インジェクション・ブロー成形技術を掛け合わせて協働することによって、PLA分野での新たな需要開拓を行っていく。
創業以来培ってきた世界トップレベルの発泡・重合、樹脂改質技術を基軸に、さまざまな先端技術を融合して付加価値の高い製品やサービスの提供を行っている積水化成品工業は、気候変動や海洋プラスチック問題などの地球全体の環境課題に対し、2030年までに全製品を構成する使用原料の50%以上をリサイクル材料や生分解プラスチック、バイオマス由来プラスチックに置き換えるという目標を掲げ、環境に配慮した新素材の開発を加速させている。
射出成形機と射出成形技術の研究・開発を積み重ねてきた日精樹脂工業では、90年代初頭からプラスチックの利便性と環境調和の両立を目指し、業界に先駆けて生分解性樹脂の成形技術や廃プラのリサイクル技術などの実用化を行ってきた。直近ではPLAに注力し、その耐熱用途・薄肉透明用途における利用技術や木粉とのコンポジット材料の開発などといった脱炭素・資源循環型社会の実現に向けた取組みを積極的に展開している。
ハイケムは中国最大のPLAメーカーである、安徽豊原集団(豊原集団)と事業戦略パートナーシップ契約を締結するなど、生分解性プラスチックのマーケット開拓にいち早く着手。PLAだけでなく、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)や、海洋分解性樹脂のPHBVなど、合計7種類の生分解性プラスチックを輸入販売する体制を構築している。21年12月には、次世代のPLA素材「HIGHLACT(ハイラクト)」を発表し、アパレル向けのPLA繊維の開発にも取り組んでいる。
現在、気候変動や海洋ゴミ問題などの地球全体の環境課題に対して、企業活動を通じた取り組みが必要とされる状況にあって、3社では特にPLA材料や利用技術の開発・市場展開を実施、新たな価値創造に取り組み、持続可能な社会の実現に向けたソリューション提案を行っている。
その実用化事例として、昨年10月ドイツ・デュッセルドルフ市において開催された、国際プラスチック・ゴム産業展「K2022」において、日精樹脂工業の展示ブース内においてIBMによるボトル成形を実演。今回実演したIBMとは、ボトル成形に多用されている専用のブロー成形機を使用するのではなく、汎用の射出成形機とIBM専用金型によって1工程でボトル製品の成形が可能な革新的な成形法で、そこに3社共同開発のブローグレードPLA材料が使用された。ボトルにはインモールドラベリングによってPLA製ラベルの装着も同時に行われ、PLAオール100%の成形実演を実現した。
PLAボトルはコンポスト内に廃棄後、水と炭酸ガスに分解される環境負荷低減が可能な素材として使用することができる。
今夜3社では、持続可能な社会の実現に向け、CO2の排出量削減と環境に貢献する製品の創出を推進する。地球環境への課題解決に向け、サーキュラーエコノミーへの移行は必須であると認識しており、天然資源の使用量をできる限り削減し、既存の資源を有効活用して社会経済活動を循環するという考えの下で、広くソリューションを提案していく。