2023年11月20日

積水化学工業
欧州生産工場開設

鉄道まくら木向け合成木材

積水化学工業(加藤敬太社長)の環境・ライフラインカンパニーでは、オランダのグループ会社であるSEKISUI ESLON(セキスイ・エスロン、ポール・コープマン社長)内に建設を進めていたFFU製まくら木の生産工場を完成させ、10月5日に鉄道関係者などを招いてオープニングセレモニーを開催した。

FFU(Fiber reinforced Foamed Urethane)は、熱硬化性樹脂発泡体(硬質ウレタン樹脂)をガラス長繊維で強化したもので、鉄道分野以外にも、建築・土木分野、車輛・船舶、工場・水産施設、スポーツ・公園施設など幅広い用途に採用されている。

積水化学工業が製造しているFFUは、軽量でありながら、耐久・耐候性、加工性に優れているなど、天然木材とプラスチックの長所を兼ね備えた合成木材で、1974年の発売以降、さまざまな用途に展開。鉄道のまくら木用途に採用されてから40年を超えており、現在は日本国内において、数多くの鉄道会社に採用されている。

海外においても、03年に初受注を獲得。以降は鉄道大国であるドイツ、イギリスなど需要の拡大が見込まれる欧州を中心に事業規模を拡大している。

積水化学工業では、17年にEBA(ドイツ連邦鉄道庁)の本認証を取得。現在では欧州各国をはじめ、アメリカ、オーストラリア、中国など世界34カ国において販売実績を重ねている。

近年、環境配慮から高品質な木材の調達が難しくなっている状況に加え、木材の防腐剤として使用されるクレオソート油に含まれている発がん性の危険から、EUでは使用が禁止。木製まくら木においても代替品として樹脂製まくら木の導入が世界中で進ちょくしている。積水化学工業のFFUにおいては、特に軽量・高耐久が求められる分岐部や橋りょう部分での採用が拡大している。

これまでFFU製まくら木は、同社の滋賀栗東工場においてほぼ全量が生産されていたが、海外における鉄道分野最大の需要地である欧州工場開設により、積水化学工業ではさらなる事業拡大とグローバル化を推進していく。