2023年12月10日

アシックス
新中期経営計画「中期経営計画2026」策定

「グローバル×デジタル」さらに推進
営業利益率12%前後目指す

【中期経営計画2026全体像】

アシックス(廣田康人社長CEO兼COO)は、2024年1月1日~26年12月31日を実効期間とした新中期経営計画「中期経営計画2026」を策定した。同社はこの計画に基づき、20~30年までの10年間にわたる長期ビジョン「VISION2030」の実現に向けて、「グローバル×デジタル」をさらに推進し、持続的な成長を目指す。11月28日には会場・ライブ配信のハイブリッドで新中計2026をテーマに「アシックス事業説明会(第9回インベストメントデイ)」を開催した。

説明会の冒頭、廣田社長は「今年は2021年2月に発表した中期経営計画2023の最終年度になる。中計2023の振り返りでは、23年着地見込みは売上高5700億円、営業利益520億円。中計2023の当初計画は営業利益250億円だったが、倍以上の数値を達成するまでにアシックスは成長軌道に転換を遂げた。そのほかの指標では、デジタルに関連するEコマースの売り上げや、OneASICS会員数は当初の計画を大きく上回る見込み。次なる中期経営計画2026の執行には新社長である富永がリーダーシップを発揮することとなる。CEOである私も引き続き責任を持って経営に携わっていく。中計2026の肝は成長軌道に乗ったアシックスをグローバル×デジタル、この展開によってさらに進化させることにある。新しいアシックスの今後の飛躍をぜひご期待頂きたい」と、あいさつを行った。

続いて来年1月1日に社長COOに就任する富永満之常務執行役員CDO・CIOが中計2026の概要を説明。富永氏は「今回の中計2026はカテゴリー、海外リージョンと多くの議論を重ねて作成してきた。これから発表する中計2026を全世界のアシックス社員一丸となって達成していきたいと思う」と前置きした。

中計2026の方針は「Global Integrated Enterprise(GIE)への変革」で、グローバル×デジタルのさらなる推進によって本社、地域事業会社との連携強化によってグループ一体となり、より有機的なカテゴリー経営体制を構築する。このGIEへの変革を実行し、アシックスの成長をさらに加速させていく。重点戦略の一つ目はグローバル成長。それぞれのカテゴリーと各地域のさらなる連携強化により、グローバル成長を加速させる。二つ目はブランド体験価値向上。DTCオムニチャネルやランニングエコシステムの拡充で直接的な顧客接点やコミュニケーションを拡大し、商品以外のサービスを含め、グローバルでのアシックスブランドの体験価値を向上させる。三つ目はオペレーショナルエクセレンスの追求。これはオペレーションの改善となり、例えばデータに基づいた需要予測精度の向上、グローバルデジタルを用いたサプライチェーン改革等を遂行し、収益性を高め、これらを実行していく。

GIEの変革では地域CEOは社長直下に配置し、主要地域CEOにおいては重要会議への参画により、グローバル経営にも加わることでカテゴリーと地域間の連携をさらに強化。これまでの地域販売会社を事業会社に変更し、商品および担当地域以外による収益拡大にも責任を負う体制にしていく。具体的にはランニングエコシステムの拡充やサプライチェーン改革を重点的に進める。人財・ITプラットフォーム、データをグローバルで活用し、これらの変革を通じてよりグローバルでダイナミックな経営を実現する。

グローバル成長におけるカテゴリー戦略では、収益基盤であるパフォーマンスランニングのさらなる成長に加え、本中計では次の収益の柱としてオニツカタイガーやスポーツスタイル、コアパフォーマンススポーツの成長を加速させていく。各カテゴリーの成長拡大だけでなく、ポートフォリオ全体をより強化していく。現状高いマーケットシェアを誇る欧州や豪州では引き続きそのシェアを維持、向上させ、米国でナンバーワンを奪還する。東南アジアや、インドでも高付加価値な商品を中心にナンバーワンに向けたブランドポジションを確立していく。パフォーマンスランニングにおいては、CEO直轄のプロジェクトによる革新的な商品の開発、OneASICSを活用したランニングエコシステムの拡充により、ランナーの体験価値を最大化させることでマーケットシェアを伸ばし、25年までにナンバーワンパフォーマンスランニングフットウエアブランドとなることを目指す。コアパフォーマンススポーツについてはグローバルでテニスに注力し、マーケットシェアナンバーワンと売上高300億円を目指し、ランニングに次ぐ収益の柱に成長させたいと考えている。また、サッカーやインドアスポーツなどを第2、第3のコアパフォーマンススポーツカテゴリーの柱と位置付け、注力地域において成長を加速させていく。

モノづくりに強みを持つ同社では引き続きプロダクトの強化を図っていく。加えてグローバル商品企画会社を新しく来年米国に立ち上げる。研究開発、企画、デザインなどの機能を集め、カテゴリー横断でスピード感を持って商品イノベーションをリードできる体制を整える。

経営基盤強化に向けては、GIEの改革のためにはデジタルの活用が必要不可欠であることから、全社で同じデータを活用して認識を合わせ、既に導入済みのグローバル共通の基幹システムに加え、生成AIなども駆使しながらグローバルで真のデジタルドリブンカンパニーになることを目指す。

26年の数値計画としては中計2026ではカテゴリー体制を引き続き軸とし、業界ナンバーワンの収益性実現に向け、さらに成長させていく。グローバルで収益を伴った売り上げ成長を図り、販管費コントロールをより強化することで営業利益率12%前後、営業利益800億円以上、売上高年平均成長率7~10%、ROA10%前後を計画している。

最後に富永常務執行役員は「私自身2018年、CIOとしてアシックスに入社以来、デジタルカンパニーへの変革を進め、ECの拡大、OneASICS、ランニングシステムなど推進してきた。廣田CEOのリーダーシップの下、成長軌道に乗ったアシックスはこれからまだまだ成長できると信じている。そのためにこれまでの私の経験や知見を生かしてアシックスを真のグローバル企業に成長させるため、本中期経営計画2026の推進をリードし、達成に導いていきたいと思う」と締めくくった。