2024年1月30日

東レ
ステンレス鋼に匹敵する高強度を備えたプラスチックフィルム創出

軽量性・絶縁性・柔軟性を維持

東レ(大矢光雄社長)は、ステンレス鋼に匹敵する高強度を備えたプラスチックフィルムを創出した。同フィルムは、高分子材料の特長である軽量性、絶縁性、柔軟性を維持しながら、引っ張り強度は最大1200㍋Paを誇っており、金属材料に匹敵する高強度の実現に成功した。

エンジニアリングプラスチックの一種である超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、汎用のポリエチレンと比べて分子量が10倍大きく、強度に優れていることから高強度繊維の原料として使用。しかしながら、UHMWPEはその分子量の大きさから分子鎖の絡み合いが非常に大きく、成形加工性が低いことから従来、二軸延伸による高強度フィルム化は困難となっていた。

この課題に対し、東レでは独自の押出・二軸延伸技術を駆使することにより、UHMWPEの分子鎖を二次元方向に高度に配向させたナノ構造を実現することに成功、ステンレス鋼に匹敵する高強度フィルムの創出を実現した。工業用プラスチックフィルムとして一般的に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと比べて、同フィルムは引っ張り強度が2倍以上であり、プラスチックフィルムとして最高の強度を備えたアラミドフィルムと同等の水準となる強度を引き出した。UHMWPE原料は、その特性上、耐寒性にも優れていることから、超電導・宇宙環境などといった極低温環境でも使用が可能、高強度を生かすことによって部材の軽量化・省スペース化に貢献する。

同フィルムは、こういったナノ構造によって面内方向の熱伝導特性に優れており、PETフィルムと比較して面内熱伝導率が10倍以上の最大18 ㍗/m/Kと、高分子フィルムとして最高レベルの高面内熱伝導性を保有。フレキシブルデバイスなどといった、小型化・軽量性・絶縁性・柔軟性が求められる用途における放熱材料としても使用が可能となっている。

加えて近年、UHMWPEは環境や人体への影響が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)の一種であるフッ素樹脂の代替材料として注目度が上昇。同フィルムについても、フッ素樹脂同等の耐薬品性、低吸湿性、低誘電性などの特性を備えており、薬品にさらされる半導体製造工程での耐薬品保護用途に使用が可能となっている。