2024年1月30日

積水化成品工業
PTFE水分散技術確立

非フッ素系 分散剤の実用化加速

積水化成品工業(柏原正人社長)は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子の高濃度水分散体が作製可能な非フッ素系分散剤の実用化を加速させる。

PFASは有機フッ素化合物の総称で、耐薬品性・はっ水剤・はつ油性などの特性を有し、半導体やEVなど、多様な分野に幅広い用途で使われてきたが、健康リスクなどが指摘される一部の化合物は、EUや日本などで製造・使用が禁止となっている。さらに、環境残留期間が長いことへの懸念などから、欧州を中心に規制対象が広がる動きもあり、その代替素材の開発が注視されている。

PFASは、その用途の一つとしてPTFE粒子を液体中に均一に分散させる添加剤として活用されているが、同社では非フッ素系分散剤の早期実用化に注力している。2021年に東北大学材料科学高等研究所・藪教授の研究成果であるムール貝の接着現象を応用した非フッ素系分散剤を技術導入し、実用化に向けた研究開発を進めてきたが、このほど非フッ素系分散剤の構造を制御することによって課題であった分散性能を向上させ、既存のフッ素系分散剤と同性能の50wt%固形分濃度でPTFEが水分散できる技術を確立した。

主な特長は①PTFE粒子など低表面自由エネルギーのフィラーを、高濃度で水分散することが可能②水に可溶なため、簡素な工程で水分散体を作製できる③少量の汎用界面活性剤を併用することで、添加量の削減可能が挙げられる。

今後の展開としては、非フッ素系分散剤での市場展開を進めるとともに、PFAS規制にかかわるほかの素材についても代替となる製品開発を行っていく。