横浜ゴム
新社長に清宮眞二常務
競争勝ち抜くため構造改革断行
横浜ゴムは1月31日、代表取締役社長兼COO(最高執行責任者)に取締役常務執行役員の清宮眞二氏が昇格する人事を発表した。なお、山石昌孝社長は代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任する。同人事は3月28日開催予定の第148回定時株主総会終了後に正式承認される予定。同日、神奈川県平塚市の同社本社とオンラインで記者会見を開催し、山石社長、清宮取締役常務執行役員出席の下、新たな経営体制などについて説明を行った。
冒頭、山石社長は今回の社長交代の背景について「2021年にスタートした新中期経営計画『Yokohama Transformation2023』(以下、YX2023)では、タイヤ消費財はADVAN、GEOLANDAR、ウィンタータイヤといった高付加価値商品の比率の最大化に努めてきた。生産財はATG、愛知タイヤ、トレルボルグホイールシステムズの買収によって利益率の高いOHT事業を拡大し、タイヤ生産財に偏っていた事業構成比の適正化を図ってきた。さらにハマタイト事業の売却、本社移転による意思決定の迅速化、政策保有株式や有休資産の売却などを進め、売上収益1兆円、事業利益率10%が視野に入るまでになってきた。
24年にスタートする次の新中期経営計画の策定にあたって低コスト、短納期開発で市場を圧巻する新興国メーカーの勢いを目のあたりにし、改めて当社の経営課題が技術・生産であると認識。この生産の変革を担う人材としてこれまでの経歴から清宮氏が適任であると判断した」と説明を行った。
今後の体制としては、山石社長が代表取締役会長兼CEOとして経営全般および北米を担当、清宮取締役常務執行役員は代表取締役社長兼COOとして技術・生産、品質保証に加え、日本・中国・アジアを担当、ニティン・マントリ氏は取締役専務執行役員兼Co―COOとしてOHT事業と、その他海外をそれぞれ分担して経営にあたる。
続いて清宮取締役常務執行役員があいさつ。「大任を仰せつかり身の引き締まる思い。入社以来、タイヤの設計開発を中心に技術・生産部門で多くの経験を積んできた。弊社は厳しい経営環境の中でYX2023について着実に成果を上げてきたが、解決すべき課題はまだまだ多くあると認識している。
ゴム業界とりわけタイヤ業界においてはグローバル市場でのお客様要求の多様化、中国、インドをはじめとした新興企業との競争激化、サプライチェーンの複雑化などが進展している。これまでの日本の製造業のモノづくりの常識にとらわれず、スピード感をもって企業経営にあたらなければ厳しい競争環境を生き残ることはできない。これまで山石社長が陣頭指揮を執り、改革を行ってきた企業体質をより強いものにすべく生産、販売、技術、物流が連携して継続的に成長、増収増益を達成できる仕組みの構築が必要だと考えている。
タイヤ事業においては世界各地のお客様にYOKOHAMAらしい価値ある商品を投入するため、さらなる製品開発業務の効率化、開発のスピードアップに取り組む。横浜ゴムグループ全体でのシナジーの刈り取り、世界の工場における抜本的な製造原価の低減、品質向上等、これからの競争を勝ち抜くための構造改革を断行していく。幸い当社はこれまでの買収によって得られた多様な企業文化がある。これを変革のトリガーとして構造改革を進め、山石社長が7年間で築き上げてきた成長戦略に技術生産の強みを組み合わせることで、社員とともにさらに強い集団にしていきたい」と、新社長就任への抱負を述べた。
清宮 眞二氏(せいみや・しんじ)1964年12月20日生まれ、59歳。89年3月日本大学理工学部卒業、同年4月横浜ゴム入社、12年4月タイヤ技術管理部長、14年10月タイヤ第一設計部長、17年3月タイヤ消費財開発本部長代理兼タイヤ第二設計部長、18年3月理事、タイヤ消費財開発本部長代理兼タイヤ第二設計部長、19年3月執行役員、タイヤ製品開発本部長兼タイヤ第一設計部長、21年3月執行役員、技術統括補佐兼タイヤ製品開発本部長、22年3月取締役執行役員、技術統括兼品質保証本部担当兼タイヤ製品開発本部長、23年3月取締役常務執行役員、技術・生産統括兼IT企画本部担当、現在に至る。