2024年2月10日

住友ゴム工業
「タイヤ空力シミュレーション」開発

EVタイヤの空力特性解明に寄与

住友ゴム工業(山本悟社長)は、タイヤ開発プロセスにおけるシミュレーション技術「タイヤ空力シミュレーション」を開発した。EV(電気自動車)の燃費(電費)性能向上のためにはタイヤの転がり抵抗の低減に加え、タイヤ周りの空気抵抗低減が非常に重要となる。同社では走行する車両のタイヤ付近の気流をAIも活用した独自のシミュレーションによって可視化することで空力性能を最適化するタイヤ形状の開発を進め、2027年に発表予定の次世代EVタイヤではEVの電費性能向上にさらに貢献するタイヤの開発を目指す。

EVタイヤに求められる性能として、航続距離を最大化するための低電費性能の向上が重要な要素の一つとして挙げられている。同社ではこれまでもさまざまなアプローチでタイヤの転がり抵抗低減に取り組んできたが、これに加えて、今回開発したタイヤ空力シミュレーションを活用してEVタイヤの電費性能向上において重要となる空気抵抗低減にも取り組んでいく。

EVへの変化が急速に進む現在、ICE(内燃機関)車両で過半を占める熱によるエネルギーロスがEVではほとんどなくなり、空気抵抗の影響が相対的に増加する。タイヤは車体から露出しており、タイヤ付近を経由した空気は車両下部や側面にも大きくはみ出して流れるため、乗用車の空気抵抗によるエネルギーロスのうち20~25%はタイヤが関係している。熱によるエネルギーロスがほとんどないEVでは、転がり抵抗と合わせるとエネルギーロスの約34~37%がタイヤによるものとなる。

今回新たに開発されたタイヤ空力シミュレーションは、タイヤ付近の空気抵抗を可視化するシミュレーション技術。実車両データを用いることや、タイヤのパターンを再現した上で、車重による接地部分のタイヤ形状変化も含めて結果の分析にAI技術を活用しながらタイヤの回転による空力を計算できることが特長となっている。さらにこれに加えて今回、タイヤのサイドウォールの文字や微細な凹凸がパターン同様に回転しながら変形するシミュレーション技術も開発した。EVタイヤにおいてはサイドウォール部の凹凸を少なくし、空気抵抗を低減することが重要であるが、今回開発されたシミュレーション技術を活用することによってデザインと、空力性能を一段と高次元で両立させたタイヤ開発が可能となる。

シミュレーションの精度を確認するために実施された実車による風洞実験結果と比較して、タイヤ後方の気流の傾向やサイドウォール部の凹凸を少なくしたEVタイヤの方が標準タイヤよりも空気抵抗値が低くなり、その変化量も一致したことから有用性を確認した。また、AIも空気抵抗が大きい時はサイドウォール部がタイヤの空気抵抗に重要な位置であると示唆しており、本AI技術の有効性も確認された。本技術を活用することにより、空力特性の最適化によるタイヤ性能向上を図り、転がり抵抗低減と合わせてEVの電費性能向上に貢献する。