2024年3月20日

ブリヂストン
実用化へ向け実証実験開始

次世代タイヤ「エアフリー」

ブリヂストン(石橋秀一Global CEO)は、空気充てんが不要の次世代タイヤ「エアフリー」の実用化に向けた実証実験を3月から同社のBridgestone Innoⅴation Parkが所在する東京都小平市近郊の公道で開始する。この実証実験ではエアフリーを実験車両に装着し、実際の使用環境により近い公道のさまざまな環境下でのエアフリーの特性や機能の検証を行い、今後の社会実装に向けた準備を進めていく。将来的にはさまざまなパートナーとの共創で価値を広げ、高齢化・地方の過疎化・労働不足による移動の制限といった社会課題の解決を目指す。また、エアフリーのパンクしない特長を最大限に生かしてタイヤの重要性が一段と高くなる自動運転との組み合わせで、より高い安心・安全の実現も目指していく。

同社は「エアフリーコンセプト」として、2008年から空気充てんの要らない次世代タイヤの開発に挑戦し続けてきた。今回の実証実験を機に、名称もコンセプトから社会実装を見据えたエアフリーへと進化させ、新たな社会価値・顧客価値の提供に向けた〝新たな種まき〟として活動を強化していく。

エアフリーへの進化にあたっては、同社が培ってきたコアコンピタンス(強み)である〝ゴムを極める〟を応用した樹脂材料の素材技術と〝接地を極める〟技術を基盤として、これまでの研究開発を通じて得られた知見とデジタルを駆使したシミュレーション技術などと組み合わせるとともに、パートナーとの共創によるイノベーションを経て〝リサイクル可能な強くてしなやかな素材の開発〟と〝強くてしなやかな素材の特性を最大限に生かす設計〟を実現した。

エアフリーは、タイヤ側面の特殊形状スポーク(地面に接地するゴムとホイールをつなぎ、荷重を支えるとともに衝撃を吸収する機能を持つ部材)で荷重を支えることでパンクせず、利用者が安心・安全に使用することができる。加えて、今回採用された青色スポークにより、日中から夕暮れ時まであらゆる明るさにおいて高い視認性を確保でき、安全性の向上も期待される。さらに路面に接するゴムの部分をリトレッド(すり減ったタイヤを再利用するために表面のゴムを貼り替えること)できるだけでなく、独自開発した再生可能なスポーク部分の樹脂をリサイクルすることで、資源の効率的な活用とサーキュラーエコノミーの実現に貢献していく。

同社ではこのエアフリーを用いてサステナビリティビジネスモデルに基づくバリューチェーン全体でタイヤを〝より長く安心・安全に使う〟という価値の創出に取り組んでいく。