2024年3月30日

TOPPAN
国産バイオエタノール事業

ENEOSと契約

古紙を原料とした国産バイオエタノール製造プロセス

TOPPANホールディングス(麿秀晴社長、以下、TOPPAN)とENEOS(宮田知秀代表取締役)は共同開発契約を締結し、古紙を原料とした国産バイオエタノールの事業化に向けた実証事業(以下、本実証)を開始する。両社で古紙を原料とした国産バイオエタノール事業に取り組むことにより、脱炭素・循環型社会の実現に貢献していく。

バイオエタノールは、カーボンニュートラルの実現に向けて自動車燃料や化学品用の原料など、さまざまな用途での利用が期待されている。また、近年世界中で需要が高まっているSAF(持続可能な航空燃料)の原料としても注目されている。

両社は2021年からエネルギーの脱炭素化と循環型社会の実現に向け、古紙を原料とした国産バイオエタノール事業の立ち上げについて、共同で検討を続けてきた。具体的には、TOPPANが開発している防水加工された紙やノーカーボン紙等の難再生古紙を原料とする前処理プロセスと、ENEOSが開発を行っているエタノールの連続生産プロセスとの組み合わせによる製造効率の向上について、小規模スケールで検討されてきた。

本実証では、前処理プロセスにおいて不要物質が適切に除去され、繊維分が豊富な原料となっているか、その後の糖化発酵プロセス(繊維分から酵素や酵母によってエタノールを作り出すプロセス)においては、原料の連続投入とエタノールの抽出によって製造効率をより向上できるかについて検証を実施していく。パイロットスケールでのプラントによる実証運転を行い、事業採算性を見極め、2030年度以降の事業化を目指す。

両社の役割としては、TOPPANは幅広い顧客とのネットワークを通じ、難再生古紙を含めた古紙の調達ルート構築ならびに調達した古紙をバイオエタノール製造に適した原料とする前処理プロセスの開発。ENEOSでは、高効率なバイオエタノール製造プロセスの開発やバイオエタノールを活用した燃料製造技術の検討を行う。

実証事業の建設地は現在選定中だが、26年度にパイロットプラントの稼働開始を予定しており、事業規模は古紙投入量(1日当たり)は約1~3㌧、バイオエタノール生産量(同)は約300㍑を計画している。