バルカー
新サービス「クィックバリュー」発表
図面アップロードで即時見積もり
バルカー(瀧澤利一CEO)は3月5日、半導体関連産業の拡大に不可欠なフッ素樹脂加工部品の見積もりをAIで自動化できる新サービス「Quick Value(クイックバリュー)」のメディア向け発表会を開催した。同サービスは、フッ素樹脂加工品の図面をアップロードするだけで即時に見積もりが完了するデジタル調達サービス。クラウドにアップロードされた部品図面の加工情報を統計解析し、パートナーシップを結んだ加工会社のデータ(設備・加工種別・加工工数・納期)と組み合せることで、図面ごとに見積もりすることなく、価格と納期の最適な見積もりの即時の提示を可能とした。同社では、半導体の部材であるフッ素樹脂加工品の調達において、これまで人の経験に依存していた調達・見積もり業務のDX化を実現したことで、調達から発注までの業務を迅速にサポートしていく。
フッ素樹脂加工品の調達と見積もり業務については、従来までユーザーは複数の加工業者に部品図面を送って見積もりを依頼するのが一般的で、期間は数日を要するのが通常であった。また、加工業者においても、相見積もりでの失注により採用に至らないケースも多分にあるため、ユーザーと加工業者双方の効率化を求める声にこたえてQuick Valueは開発された。
同サービスは専用サイトへの登録によって利用が可能で、料金は発注した製品のみに発生し、サイトの登録と見積もりについてはコストは発生しない。部品の見積もりは2D、3Dいずれの図面でも可能としており、加工形状についても切削・溶接加工の双方に対応、価格と納期のどちらを優先させるか2通りの結果を得ることができる。さらには、図面データの入力ミスにはAIがミスを検知して知らせてくれる機能も完備。通常は2時間以内での見積もりを可能としているが、加工条件など難易度の高い案件については、同社のオペレーションによって詳細な見積もりを行い、万全な体制で対応にあたる。
同社では、日本で初めてフッ素樹脂の工業製品化に成功してから70年以上にわたって製品を供給し続けてきた実績があり、Quick Valueに参画する加工業者も同社の厳格な品質基準を満たすパートナー企業だけが選ばれている。加工用の素材についても、多岐にわたる需要業界で実績のある「バルカーバルフロンPTFE」を100%使用しており、半導体関連など高い要求性能にも確かな品質を保証する。今後の展開としては、「他素材への展開も視野に入れており、各設備に応じた素材や部品の形状への対応や納期など、より詳細な自動の即時見積もりを展開していく」(同社)。
Quick Valueのサービスのさらなる拡充に向けては、初年度は運用によって取得した図面・加工データを蓄積したデータを蓄積し、まずはAIの強化を図っていく。25年度以降は、グローバル展開に向けたソフトウェアの多元語化を進め、エンプラなどの他素材やカスタム品への対応も推進していく方針。