2024年4月15日

自動車部品の再生材利用拡大へ

技術実証を開始
自動車部品解体プロセス等

デンソー(林新之助社長)、リバー(松岡直人社長)、DIC(池田尚志社長)、UACJ(田中信二社長)、金城産業(金城正信社長)、九州メタル産業(森山義洋社長)、住友化学(岩田圭一社長)、大同特殊鋼(清水哲也社長)、東レ(大矢光雄社長)、豊田合成(齋藤克巳社長兼CEO)、トヨタ紡織(白柳正義社長)、野村総合研究所(柳澤花芽社長)、古河電気工業(森平英也社長)、マテック(杉山博康社長)、三井化学(橋本修社長)、早稲田大学(田中愛治総長)は、自動車リサイクルにおける再生材利用拡大を目指し、自動車部品解体プロセス等の技術実証を開始することを発表した。

近年、自動車産業では持続可能な社会の実現に向けて「サーキュラーエコノミー」への転換が求められており、再生材の大幅な利用拡大を通じて新たな天然資源の投入量を削減することが必要とされている。しかし、現在世界ではELV(End of Vehicle=使用済み自動車)を破砕し、材料ごとに選別して再生材を作り出す手法を取っていることが多く、高純度の再生材に向けた材料を選別することが極めて難しいため、水平サイクル(使用済み製品を資源にして、同じ製品に利用するリサイクルシステムのこと)率が低い状況となっている。また、これまで動静脈(経済活動を動物の血液循環に例えた呼称で、資源を加工して製品などを生産する産業を「動脈産業」、使い終わった製品を集め、再販売、再加工などを通して再び社会に流通させる産業を「静脈産業」という)の連携が十分ではなかったことから、高い品質が求められる自動車部品の材料として再生材を用いるための取り組みが進展していなかった。

一方、ELVの解体・破砕を担う業界では、深刻な労働力不足への対応や、安全・安心で快適な労働環境の整備などが課題となっている。これらの課題解決とともに、再生材の質と量の確保にもつながるELVの新たな処理手法への転換が必要となっている。

今回、ELV解体・破砕事業者、解体システム提供者、素材メーカー、自動車部品メーカー、研究機関などの参画法人が連携して質と量の確保の両方を実現する新たなELVの処理手法である「自動精緻解体プロセス」を起点とした、動静脈一体となったプロセスの技術実証を通じて、この動静脈一体のエコシステムを社会実装する上での課題の抽出を行う。具体的には、自動精緻解体プロセスの技術実証や、精緻解体で抽出した各種素材の高純度化・再資源化プロセスの技術実証およびそれによって作られた再生材を用いた部品の試作評価を行う。加えて、CO2排出量削減の観点から自動精緻解体プロセスの環境への負荷低減効果を測定し、本処理方法の持続可能性についても検証を行う。

なお、これら企業、大学などによる「ELV自動精緻解体を起点とした水平サイクルを実現する動静脈一体プロセスの技術実証」が環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業の一つとして採択された。本実証は先月上旬から開始されており、来年1月末まで実施される予定。

今後、本実証を通じて自動車部品の再生材利用の拡大を目指すとともに、動静脈一体となった自動車産業のサーキュラーエコノミー実現に向けて貢献していく。

【申請法人・共同実施者および主な役割】