2024年4月25日

三洋化成工業
エコニック社と覚書締結

CO2ポリオール製造事業開発
脱炭素社会の実現に向けて

三洋化成工業(樋口章憲社長)は、再生可能炭素に特化した英国のディープテクノロジー企業であるEconic Technologies(以下、エコニック社)と覚書を締結した。本締結に伴い、三洋化成工業は持続可能で高機能なポリウレタンに使用すべく、エコニック社のCO2ポリオールの製造技術の評価を行っていく。両社はポリオールの製品開発やエコニック社のCO2利用技術の活用を進めることでバリューチェーンの脱石化を図り、三洋化成工業の重点分野であるカーボンニュートラルの向上を目指す。

カーボンリサイクルはCO2を持続可能な炭素源として有効活用する技術で、カーボンニュートラルを実現するキーテクノロジーとして期待されている。

エコニック社はCO2をポリオールの骨格に組み込む独自の触媒とプロセス技術を有しており、その技術を使用すれば、カーボンフットプリントを最大30%削減することが期待できるとしている。さらに、CO2ポリオールを製造する技術は、既存の生産工場を活用することで製造プロセスの低コスト化が実現でき、性能とコストを犠牲にすることなく実用化につなげることができる。

ポリオールはポリウレタンを製造するための二大原料の一つ。ポリウレタンは自動車、家具、マットレス、建築、工業用途の高性能フォーム、コーティング、接着剤、シーラント、エラストマーなどといった幅広い分野で使用されており、ポリウレタンの石油由来原料への依存度を低下することは、CO2排出量削減へのインパクトが高く、素材の持続可能性を一段と高めることとなる。

三洋化成工業は、1960年にポリプロピレングリコール(PPG)の商業生産を開始して以降、アルキレンオキシド付加技術のパイオニアとして数々の製品を開発しており、国内トップレベルのシェアを有している。日本のポリウレタン用ポリオールのトップメーカーとして、エコニック社の各種ポリオール技術を導入することで、顧客のポリウレタン製品の性能と競争力を大幅に向上させ、ポリウレタン市場の持続的成長に貢献することを目指している。

また、三洋化成工業はエコニック社の技術を今後数年以内に事業化すべく評価を進めるとともに、本ポリオール技術をポリウレタン以外にも活用し、新たな持続可能な取り組みへの起点としていく計画。同社では、今回のCO2ポリオール技術導入によって三洋化成工業が取り組んでいるカーボンニュートラルに向けた取り組みの一環として循環型社会に必要となる技術の開発を加速するものと考えている。

2011年にインペリアル・カレッジ・ロンドンのシャーロット・ウィリアムズ博士によって設立されたエコニック社の世界本社はマンチェスター郊外のアルダリー・パークにあり、クリーンテック・グループのグローバル・クリーンテック100の一員。革新的な触媒とプロセス技術により、メーカーは石油化学製品の代わりにCO2をベースにしたポリマーの製造が可能で、世界で最も象徴的な消費者ブランドに製品供給を行っているポリオール・界面活性剤メーカーにその技術をライセンス供与している。