2024年4月25日

住友ゴム工業
タイヤの摩耗を3次元で見える化

25年から検知システム実証開始

住友ゴム工業(山本悟社長)は、ファンクショナルセラミックスをベースとした電子デバイスの研究開発・生産・販売を行っている村田製作所(本社・京都府長岡京市、中島規巨社長)と共同開発を行っているタイヤ形状を三次元でとらえ摩耗を検知し、ユーザーへデータでフィードバックする「タイヤ摩耗検知システム」を、2025年から順次DUNLOP直営店(タイヤランド)において実証を開始する予定であることを発表した。

一般的にタイヤの摩耗確認では専用のツールを用いて人が主溝の深さを計測するため、ち密な計測値を要する場合では計測条件等によって誤差が発生することがあった。またタイヤの偏摩耗については主に目視での確認で判断し、作業者の熟練の程度により正確性を高めていた。そこで両社はタイヤ摩耗をセンサーで見える化し、ユーザーに数値でフィードバックする摩耗検知システムの共同開発を21年9月から開始した。

住友ゴム工業のタイヤメンテナンスおよびタイヤ開発に関する知見と、村田製作所の通信市場で培った三次元計測によるセンシング技術や自動車市場における技術的知見を融合させることにより、摩耗データを高精度かつ三次元で計測する技術を確立し、幅広い使用環境や車両・タイヤに対応可能な摩耗検知デバイスを開発した。同システムは、スマートフォンのアプリケーションを用いて摩耗検知デバイスでタイヤをスキャンし、タイヤ表面データをアルゴリズムで解析することで、タイヤ摩耗を三次元で正確に把握することが可能となる。ユーザーには3段階でタイヤ各主溝の摩耗状態が表示されるとともに、偏摩耗があった場合にはその位置がフィードバックされる。

トラック・バス事業者が抱える課題として、2024年問題や脱炭素が挙げられるように、近年コスト低減や環境経営への需要はますます高まっている。住友ゴム工業ではこの実証を通して、摩耗・偏摩耗の傾向からタイヤ交換やローテーション時期を予測し、計画的なメンテナンスによって車両稼働率の向上につなげることができると考えている。また、摩耗したタイヤ表面のゴムを貼り替えて再利用する省資源なリトレッドタイヤにおいても、ローテーションなどの適切なタイヤ管理によって、土台として利用できる質の高い台タイヤが増えることでリトレッド回数の向上も期待される。

さらに住友ゴム工業では、CASE/MaaSに対応する高い安全性能・環境性能を実現するため、タイヤ開発および周辺サービスの開発コンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げている。その周辺サービスの中核を担う「センシングコア」において、同システムによる高精度な摩耗データの収集はタイヤの摩耗検知技術の精度向上およびさらなる機能や、サービスの開発につながると期待している。