2024年4月30日

日本ゼオン
2024年3月期決算説明会開催

純利益3ケタの増加

日本ゼオン(豊嶋哲也社長)は4月25日に2024年3月期決算説明会をオンラインで開催した。それによると売上高は前年同期比1・6%減の3822億7900万円、営業利益は同24・6%減の205億円、経常利益は同14・3%減の269億600万円、当期純利益は同194・3%増の311億100万円の増益となった。また、期末配当金については第2四半期末の配当金と同額の1株当たり20円、年間40円を予想していたが、通期業績や財務状況等を総合的に勘案し、期末配当金の予想を1株当たり5円増配し25円に修正。これにより、年間配当金は1株当たり45円となり、前期(23年3月期)実績から9円増配とした。

部門別では、エラストマー素材事業部門の売上高は前年同期比3・1%減の2152億8600万円、営業利益は同34・8%減の66億3500万円。同事業における営業利益の増減要因は為替差益で36億円、原価差で55億円(変動費70億円のプラス、棚卸資産関連費用16億円のプラス、固定費31億円のマイナス)、海上運賃軟化などによる18億円の販管費差の増益要因があったものの、出荷量減による数量差3億円、価格差141億円の利益圧迫要因が上回った。合成ゴム関連では、主要市場である自動車産業向けを中心に需要は回復傾向にあり、原料価格に応じた市況価格下落は見られるものの、出荷増や為替影響などにより、売上高、営業利益ともに前年同期を上回った。合成ラテックス関連では、医療・衛生用手袋の流通在庫が引き続き過剰で需給の緩みが解消せず、売上高は前年同期を下回ったものの、コスト削減に取り組み、営業利益は前年同期を上回った。化成品関連では粘着テープ・ラベル向けの世界的な需要回復の遅れによる出荷減や市況価格下落等により、売上高、営業利益ともに前年同期を大幅に下回った。

高機能材料事業部門の売上高は同1・9%増の1073億7300万円、営業利益は同27・6%減の132億4100万円。同事業における営業利益の増減要因は光学樹脂の販売価格改定により10億円、為替差益により19億円の増益要因があったが、光学フィルム出荷量増、化学品出荷量減、光学樹脂品目構成差等の数量差により3億円、光学フィルム新系列の稼働開始に伴う費用増、地震の影響等で原価差54億円、新規開発費用および間接部門費用配賦増による販管費差22億円の利益圧迫要因を賄えなかった。高機能樹脂関連では、モバイル端末向け光学フィルムのテレワーク特需が一巡したものの、大型テレビ向け光学フィルムの販売復調および医療用途向け光学樹脂の需要堅調により、高機能樹脂関連全体の売り上げは前年同期を上回った。一方、光学フィルム新生産ラインの稼働開始に伴う費用増や能登半島地震の影響等で、全体の営業利益は前年同期を下回った。電池材料関連では、中国経済低迷による需要落ち込みやグローバルでのEV販売不振に加え、欧州でのEV補助金政策の変更の影響を大きく受けた。化学品関連では、合成香料市況下落の影響を受け、売上高、営業利益ともに前年同期を下回った。電子材料関連も半導体市場の低迷による半導体メーカーの稼働率低下の影響を受け、売上高、営業利益ともに伸び悩んだ。トナー関連は出荷量が増加したことで売上高は前年同期を上回ったが、原価上昇の影響を受け、営業利益は減益となった。

その他の事業部門の売上高は同1・4%減の643億3900万円、営業利益は同64・9%増の39億2700万円。子会社の商事部門等の売上高が前年同期を下回った一方、RIM配合液等の営業利益が伸長した。

今期については、売上高を前期比3・9%増の3970億円、営業利益を同29・3%増の265億円、経常利益を同2・2%増の275億円、当期純利益を同43・7%減の175億円を見込んでいる。