2019年10月25日

TOYO TIRE
「ウィンタートランスパスTX」こだわりと強みを市場に

市場動向と注力商品について

今季は消費増税の影響もあって、例年に比べると需要そのものは動きが早かった。
北の降雪地域では、自動車の増税前の駆け込み需要に伴い、セットで販売されるスタッドレスタイヤなど、カーディーラーにおける需要が大きく伸長した。

一方、ショップ・量販店では早々と冬タイヤの品ぞろえが整い、早期装着を呼びかけるのぼりやポスターの効果によって、ユーザーの安全・安心に向けたスタッドレスタイヤへの関心はいっそう高まりを見せているようだ。
お客さまにとっても、店舗が早い段階からこういった体制で販売に臨むのは良いことで、品ぞろえが豊富なことで選択肢は広がり、それぞれのニーズに沿ったタイヤが選びやすい。

また、首都圏では、急な降雪があるとタイヤ交換を行う人がショップに集中して品薄にもなり、販売スタッフも混雑していなければ製品の説明が詳しくできるため、降雪前の余裕を持ったタイヤの冬支度はユーザーにとってメリットが高いと言える。

こうした中、今季商戦では当社の強みを生かした独自性の高い商品の拡大を目指しており、17年の発売開始から3シーズン目となるハイト系専用のスタッドレスタイヤ「ウィンタートランパスTX」のさらなる拡販に取り組んでいる。

近年、軽自動車やSUVもハイト(背高)系の車がトレンドなので、自動車ディーラーおよびタイヤショップでは、そういった車のお客さまには当社のスタッドレスタイヤが提案しやすいと好評を頂いている。
従来はSUV/4×4といえばトラクション感のあるフレーム構造の車が主流であったが、近ごろでは全高の高いセダンやコンパクトカーなど街乗りを重視したCUV系が増えており、そのクラスに向けたサイズ展開もいっそう拡充させている。

ウィンタートランパスTXにおいては、そうした車種の専用設計のスタッドレスタイヤとして、さらに当社のこだわりと強みを市場に打ち出していきたい。

商品の特長について

当社の掲げる「専用タイヤ発想」から生まれたTXは、ハイト系に起こりやすい“ふらつき”を抑制し、最大の要求性能であるアイス性能と操縦安定性を高い次元で両立している。

氷上性能については、従来商品の「ウィンタートランパスMK4α」と比べて制動距離を12%短縮、同じくコーナリング性能についても8%向上している。タイヤが滑る原因となる水膜の除去の対策としては、親水性を持つ吸水素材の配合によって速やかに水膜を吸水・除去する“NEO吸着ナノゲルゴム”を採用。
ナノゲルが氷点下でもゴムを柔らかく保って氷に密着し、配合された鬼クルミの殻が氷をダイレクトに引っかいて高いグリップ力を生み出す。

また、トレッド部は経年変化を抑制するコンパウンドをベースに、氷上性能を発揮するイン側とコーナリング性能を高めるアウト側で配合を変えており、この構造により優れたアイス性能と操縦安定性の両立が図られた。

ほかにも制動時の高いエッジ効果を発現する“3Dダブルウェーブグリップサイプ”、制動性・コーナリングに貢献する“コンビネーションブロック”、アイス制動性を高める“新吸着サイプ”、トランパスシリーズの基盤技術であるふらつきを低減させる“高剛性ショルダーブロック”など数多くの工夫と技術が導入されており、これらの新素材とサイプ技術によって従来モデルをしのぐ性能は支えられている。

パワーアップしたアイス性能については“吸水”、“密着”、“ひっかき”の3つの効果をユーザーがイメージしやすいように「瞬間スタッドレス」という“うたい文句”で訴求を図っている。

販売促進の施策について

今季では冬タイヤのテレビCMに関しても前倒しでスタートしており、8月より北海道地区を皮切りに東日本の降雪地域にかけて順次放映を開始した。
放映期間においてはできるだけ集中攻勢をかけ、視聴者との接触と画面への注視度を高めることを狙っている。

映像では当社のブランドステートメントである「まだ、走ったことのない道へ」の世界観を冬の大雪原において表現。 一面真っ白な雪の中をSUVが疾走し、ユーザーそれぞれのライフスタイルに合わせた冬季の走りを描き出している。

またTXをはじめ、“パッセンジャーカー専用”スタッドレスタイヤ「オブザーブ・ガリットギズ」「ガリットG5」など、シリーズの主力ラインアップを精巧にミニチュア化したモックアップを作成し、カーディーラーや販売店での商談に役立ててもらっている。

特にディーラーでは接客面でタイヤのゴムの“におい”を気にかける店もあり、ラッピングでカバーするとトレッド部など製品の特徴がよく見えなくなるので、製品説明の際に重宝されている。一方、販売店においても、このミニタイヤのツールは実際のパターンをモールドを起こして忠実に再現しているため、テーブルやサービスカウンターでの商品説明も可能になったことから、便利かつスムーズな商談に結びつくと好評を得ている。

オールシーズンタイヤの展開について

2015年より北米および欧州で販売していたSUV用オールシーズンタイヤ「セルシアス」を、新たに溝の高さなどを日本向けにアレンジして8月から発売開始した。

夏タイヤに必要なウェット性能と燃費性能を確保しながら、欧州規定のシビアスノー要件を満たした証である“スノーフレークマーク”を刻印。

高速道のチェーン規制にも対応しており、凍結路面以外の浅雪、圧雪路面、シャーベット状の雪道ではしっかりと走ることができる。当社としては、あくまで夏タイヤの位置付けで展開しており、アイス性能ではスタッドレスタイヤにゆずるものの、非降雪地の突然な降雪に対しての備えや、また降雪地では冬タイヤに交換するまでの“つなぎ”の商品として、今後はこういったオールラウンドなカテゴリーのタイヤの需要も高まってくると見込んでいる。