ランクセス
2020年度の事業活動を発表
EBITDAマージン 設立以来初の15%を達成
ドイツの化学会社・ランクセス(以下、同社)の日本法人であるランクセス(張谷延河社長)は4月15日、インターネットのオンライン配信によって「2020年度の活動に関する記者説明会」を行った。自宅などで仕事をしているテレワーク従事者でも説明会への参加を可能とした。出席者は一方的に説明を受けるだけではなく、終盤には質疑応答の時間を設けるなど、実際の記者説明会としての形に近づけるよう配慮された。
技術力の向上などを目指す
前年度の業績推移、20年度の日本における事業活動について、張谷社長自らが登壇して説明。前年度の事業の進ちょく度を振り返り、「逆風にもかかわらず成長軌道を推進できた」と自らを評価した。そのエビデンスとしては事業再構築をさらに推進したことで収益向上が図られ「EBITDA(特別項目を除いた数値)のマージンは設立以来初の15%を達成」するという成果を上げた。同社の19年度の業績は売上高が前年並みの68億200万、EBITDAは同3%増の10億1900万、純利益は同15%減の2億4000万。アドバンスト中間体部門の売上高は同2%増の22億5000万、EBITDAは同8%増の3億8900万、スペシャリティアディティブス部門の売上高は同1%減の19億7000万、EBITDAは同3%増の3億5300万、パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は同8%増の11億、EBITDAは同23%増の1億9200万となり、収益が大きく伸びた。エンジニアリングマテリアルズ部門は自動車業界の需要低迷の影響により、売上高は同8%減の14億5000万、EBITDAは同11%減の2億3800万となった。
事業再構築の内容としては有機金属事業の再構築が完了し、合弁会社であるカレンタの株式40%の売却を発表、皮革用化学品ビジネスユニットの売却も進んでおり、クロム化学品事業ならびにクロム鉱山の株式を売却(20年第4四半期に完了)も進めている。その一方で、ブラジルのバイオサイドメーカーを買収、財務基盤の強化など優良領域の事業買収については計画通りに前向きに行っていく計画。
20年度の日本における活動計画としては、成長市場である電気自動車などのニューモビリティ向け軽量化ソリューションの提供、耐火性・安全性を高める難燃剤事業の推進、持続可能な発展を推進する事業活動および社会的責任への取り組み、デジタル化および働き方改革の推進に力を注いでいく。清涼飲料水・ワインなどの果実酒向け殺菌料「ベルコリン」についても、来月1日から日本市場で発売を開始する(3面に記事掲載)。
耐火性・安全性を高める難燃剤市場の需要成長の原動力としては規制の強化、火災予防規制の強化、軽量化などで金属代替材料として樹脂への需要増により難燃剤需要の増加などにより、同社では日本での年間平均成長率3~4%を予想している。それに対する同社の製品ソリューションとしては、米・アーカンソー州エルドラドに臭素製造拠点を設立し、建築、自動車、機械、電子・電気機器などの幅広い製造業向け製品ソリューションを積極的に提案する。コスト競争力を備えた臭素抽出、75年以上分の臭素備蓄、マーケットの需要に対応した技術革新を推進することで、市場のニーズにこたえていく。
環境にやさしい新しいモビリティ分野の開発に向けては、日本においては技術力の向上(クルマの性能向上)、低燃費、二酸化炭素排出量削減(環境にやさしい)、設計の自由度向上、安全性の向上、コスト削減(部品共有化)、出荷スピードの向上といった項目が自動車産業の取り組みの命題。それに対して同社では軽量化、超軽量化デザインのサポート、エンジンルーム構造部材およびパワートレイン部材向け素材の開発・提供、電気自動車向け製品ソリューションの提案といった企業努力によって業界のトレンドに寄り添っていく。
同社では「持続可能な開発目標(SDGs)」に幅広く取り組み、日本国内における社会貢献にも積極的に取り組んでいく方針。