2020年6月25日

三洋化成工業
ティエムファクトリ社へ出資

世界初の超軽量透明断熱材
「スーファ」の事業化支援

三洋化成工業(安藤孝夫社長)は、世界初の板状の超軽量透明断熱材「SUFA(スーファ=スーパー・ファンクショナル・エア)の事業化を進めている素材系ベンチャーであるティエムファクトリ(本社・東京都港区、山地正洋CEO)に出資を行った。今回の出資を通してスーファの事業化を支援し、持続可能な社会の実現に貢献する。

地球温暖化防止対策は喫緊の社会課題となっており、温室効果ガス(CO2)の排出量削減を求める要請はさらに厳格化。近年、省エネルギー対策の一環として冷暖房効率の向上や熱の有効利用につながる断熱材の重要性が再認識されている。スーファはティエムファクトリと京都大学が開発した全く新しい断熱材で、高い断熱性能を持ちながら超軽量で高透明度といった優れた特長を保有。三洋化成工業は、優れた断熱材であるスーファの普及がCO2削減による環境負荷低減につながるとの認識から今回、ティエムファクトリに対して出資を行うことに決めた。

エアロゲルは地球上の固体の中で最も軽く、最も断熱性能の高い材料。スーファはティエムファクトリが京都大学と共同で開発した高い透明度を有した板状のエアロゲルで、これまでエアロゲルの作製には、超臨界乾燥装置と呼ばれる高価な装置が必要であったことから、現実的な価格での販売が困難だった。スーファはティエムファクトリ独自の処方により、高透明度で大判のエアロゲルのスーファを、特殊装置を使用せず作製する方法に成功、価格を抑えることを可能にした。熱伝導率はモノリスタイプで0・012~0・014W/m・K程度と大変低く、断熱材としての性能は世界最高レベル。透明で軽量であることから、これまで断熱が困難だった窓や透明部の断熱が可能になる。住宅や自動車、保冷物流などの業界で搭載されることにより、熱マネジメントを効率化することで、地球環境への負荷低減に大きく貢献し、サステナブルな社会を実現できる。

ティエムファクトリとの共同開発を通して、三洋化成工業の強みである界面制御技術の応用や従来の断熱材であるウレタンフォームとの複合化など、スーファの価値向上や事業化を促進し、持続可能な社会の創造を目指す。さらに、ティエムファクトリが備える無機素材系に関する技術知見やノウハウを共有することにより、新たな潜在顧客の開拓にもつなげていく。

三洋化成工業は社会のニーズが高度化・多様化する中で、スピーディーに多様なニーズにこたえるために数年前からオープンイノベーションに着手。今後も引き続き有望な技術への投資を積極的に行い、有力事業の支援や新規事業の創製を目指していく。

三洋化成工業の安藤社長は「当社でも将来に向けて環境関連事業への投資を積極的に行っている。サステナブルな社会の実現が求められる一方、目まぐるしいスピードで社会構造が変化しており、多様化するニーズにこたえて生活の水準を維持・向上しながら環境課題をクリアしていかなければならない。このような未知の領域へ挑戦するためには、これまでの常識にとらわれない新しい素材・発想が必要となる。当社でも自社技術だけでなく、外部との協業を通して社会ニーズの変革にスピーディーに対応するとともに、次世代に貢献するソリューションを提案していく。スーファはこれまでにない優れた断熱材であり、断熱材の可能性を広げる素材。当社の技術やパフォーマンス・ケミカルスと融合することで、スーファの事業化促進や新たな価値の創造につなげていく」と今後の展開に意欲をのぞかせた。