カーボンブラック協会
2021年カーボンブラック需要見通し
国内総需要は5・1%増
20年より需要増に
カーボンブラック協会(長坂一会長)は2月9日、ウェブにおいて「2021年(令和3年)カーボンブラック需要見通し」について発表した。
それによるとカーボンブラックの国内総需要は前年比5・1%増の65万2420㌧で、新型コロナウイルス感染症拡大によって自動車産業やタイヤ、ゴムホース業界に大きなダメージを受けた20年よりも需要増の見通しを立てた。ただし、それ以前の19年の76万8483㌧には大きく離されており、逆に20年のコロナ禍によるカーボンブラック業界に与えた影響の大きさが浮き彫りになった。
この統計は、日本自動車タイヤ協会と日本ゴム工業会の需要見通しをベースに、カーボンブラック輸出入の状況等を織り込んで算出された。需要見通しの内需計は同5・1%増の60万3620㌧で、このうちゴム用が同5・1%増の56万1170㌧。用途別ではタイヤが同3・1%増の42万1788㌧、一般ゴム用が同11・7%増の13万9382㌧で、非ゴム用では同4・9%増の4万2450㌧。輸出が同4・9%増の4万8800㌧、輸入が同5・3%増の13万1300㌧。全項目で前年実績を上回っているが、その一方で全項目でコロナ禍前の19年を下回っており、実質は災禍の影響から立ち直りつつある見通しとはいえ、以前のレベルまで届いていないのが実情。19年比で約84%の水準にとどまっている上、今回の予想値もワクチンの浸透など回復シナリオに沿って算出しており、不測の事態によっては下振れする懸念もあり、まだまだ予断を許さない状況が続いている。
「過去の災禍をひも解くとリーマンショック時の落ち込みが、時に引き合いに出されるが、08年に発生したリーマンショックは09年に実質的なマイナスの波となって世界の経済界に打ち寄せ、09年の産出額では前年の71%まで経済状態を冷え込ませた。今回は、リーマンショック時ほどまでのダメージには至っておらず、19年代までの水準に戻すのは長い道のりを必要としない」(同協会事務局)という予測を立てている。