三菱ケミカル
プラスチック油化事業開始
ENEOSと共同で
国内最大規模の設備建設
三菱ケミカル(和賀昌之社長、以下、MCC)は、ENEOS(大田勝幸社長)とともに、MCC茨城事業所においてプラスチック油化共同事業(以下、同共同事業)を開始することを決定した。MCC茨城事業所に商業ベースでは国内最大規模となる年間2万㌧の処理能力を備えたケミカルリサイクル設備を建設し、2023年度からの廃プラスチックの油化開始を目指す。
MCCとENEOSは、19年に鹿島コンプレックス有限責任事業組合(以下、LLP)を設立、茨城県鹿島地区の石油精製および石油化学事業のさらなる連携強化に向けた検討を実施。その一環として、廃プラスチック問題が世界的課題となっていることを踏まえ、プラスチック製造のサプライチェーンに関する事業者として循環型社会形成に貢献することをテーマの一つととらえ、ケミカルリサイクルの技術検討を進めてきた。同共同事業に関する合意は、これらの検討の結果による成果として交わされた。
同共同事業では、外部から調達した廃プラスチックを、英・Mura Technology(ムラテクノロジー)社の超臨界水技術を導入する新設備において化学的に液化し、油化処理を行う。製造された油(リサイクル生成油)は、両社の既存設備である石油精製装置およびナフサクラッカーにおいて原料として使用され、石油製品や各種プラスチックへと再製品化されることで、高効率なケミカルリサイクルの循環を実現させる。
今後、両社は、原料廃プラスチックの安定調達、サーキュラーエコノミーに関するプラスチック製品へのケミカルリサイクル品認証および石油製品への温室効果ガス削減などの認証取得などによる製品の高付加価値化、次世代事業としてさらなる技術的知見の習得を図る。
MCCは、循環型社会の形成につながる同共同事業を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12である「つくる責任使う責任」の達成に確実に貢献していく。
リファインバースと基本合意書を締結
原料プラ調達など
またMCCは、同共同事業における日本最大級となるプラスチック油化のケミカルリサイクル設備の建設に伴い、リファインバース(本社・東京都中央区、越智晶社長)から原料となる廃プラスチック(以下、原料プラスチック)を調達する基本合意書を締結した。
MCCおよびリファインバースは、昨年8月に資本業務提携を行い、廃棄物の適切なリサイクルや有効利用の促進に向けた検討を継続。MCCは、ENEOSと共同でMCC茨城事業所にケミカルリサイクル設備の建設を進めているが、MCCおよびリファインバースでは、同設備向けの原料プラスチック収集や調達などにおける具体的な検討をさらに加速させる目的から、今回の基本合意書の締結に至った。
これに基づき、リファインバースでは、産業廃棄物や建設廃棄物等の幅広い対象から、ポリプロピレンやポリエチレンをはじめ、ポリスチレン、PET樹脂などといったさまざまな種類の原料プラスチックを収集する取り組みを検討する。
MCCでは、プラスチックケミカルリサイクル設備の実装に向けて、石油由来原料と廃プラスチック由来のリサイクル原料を混合して製品が製造される際に、第三者認証を取得することで、使用したリサイクル原料の割合を任意の製品へ割当てる流通管理方式である、マスバランス(物質収支)方式によるケミカルリサイクル品認証の取得および社会へのマスバランス方式の浸透を目指す。
MCCはサーキュラーエコノミーの実現に向けて、原料プラスチックの安定確保および透明性・信頼性の高い循環型サプライチェーンを実現する目的から、DX技術を活用したトレーサビリティーの確保に向けた検討を進める。