東レ
新規接着剤、技術開発
環境負荷物質不使用、植物由来成分原料で環境問題に貢献
東レ(日覺昭廣社長)は、環境負荷物質不使用で植物由来成分を原料とした新規接着剤を開発、東レ・デュポン(畑愼一郎社長)および東レハイブリッドコード(鈴木晃社長)が、その接着技術を確立した。新たに開発された新規接着剤は、長期的に暴露した場合に身体に影響を及ぼす可能性があるレゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)を含まず、植物由来成分からなる環境配慮型のゴム補強繊維用の接着剤として展開。東レハイブリッドコードにおいて、この接着剤を使用したゴム補強用繊維製品(コード)の加工生産のための新たな接着技術を確立し、東レ・デュポンが製造販売するアラミド繊維への加工を行うなど、東レグループの保有する高機能繊維を用いたゴム補強用繊維製品(コード)のラインアップを拡充する。東レグループは、産業界で幅広く使われるゴム補強用繊維製品について、接着加工プロセスでの環境負荷低減と非石化原料の接着剤を使用することによるGHG(温室効果ガス)排出量削減の両方で地球環境問題の解決に貢献する。
タイヤや自動車用ホース、自動車用ベルトなどのゴム製品には、補強材としてナイロンやポリエステル、アラミドなどの合成繊維を広く使用。これらのゴム製品を補強する場合は、合成繊維とゴム組成物を接着させる必要があり、その接着剤として、レゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤が80年以上もの長期にわたって広く用いられてきた。しかしながらRFは、内分泌かく乱といった身体の負担への懸念や、近年の環境意識の高まりを受けた環境によりやさしい接着剤へのニーズの増加により、RFを含まない新規接着剤の開発が求められてきた。
今回、東レが開発した接着剤は、従来から保有する合成繊維とゴム組成物を接着する基本技術をベースに、接着剤の組成の最適化を行うことにより、RFL接着剤と同等の接着性能を有しながら、RFは不含有。これにより、合成繊維への接着剤加工プロセスでのRFの排出を抑えることで、環境負荷を低減することが可能となり、接着剤の成分に植物由来原料を用いることから、従来の手法に比べGHG排出量を抑えることができる。この接着剤は、炭素繊維やビニロン繊維などの他の合成繊維とゴム組成物の接着にも用いることが可能で、応用範囲が非常に幅広いことも特長の一つ。
東レグループは国内において原糸の開発、生産、接着技術開発、接着加工生産(タイヤコード・ゴム資材補強コード生産)の一貫体制を有し、顧客の多種多様なニーズに対応する技術を開発し、素材(コード)を販売している。今回開発した新たな接着剤は、コードの生産時に既存の生産設備を活用できることから、今後の合成繊維とゴム生成物の接着における標準的な加工材料として活用し、顧客のニーズに応じた種々のコードの開発と販売を進めていく。
今回の環境配慮型の新規接着剤は、環境への負荷の低減と持続可能な循環型の資源利用につながる取り組みであり、国内外の顧客との間で新たな接着剤を使用した素材の販売拡大や、技術ライセンス提供などといった取り組みを広げることで、地球環境問題の解決と社会の発展に貢献していく。