デンカ
大牟田工場設備増強
機能性フィラー製品群拡充
デンカ(今井俊夫社長)は、スペシャリティー事業の成長を加速させるため、大牟田工場(福岡県大牟田市)において、50 億円の戦略投資による次世代の高機能球状フィラー製造設備の増強を決定した。半導体を含む高速・大容量データ通信(5G)・自動車の電動化(xEV)における高信頼製品の需要増を見込んで、球状シリカや球状アルミナ、球状マグネシアの高機能グレードの生産能力を増強するため、製造設備を新設する。
同社は1915年の創業以来培ってきた無機材料の高温焼成・窒化反応・粒径制御等の基盤技術を元に、球状シリカ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、球状アルミナ、蛍光体などさまざまな機能性セラミックスの製造を行っている。球状シリカは低熱膨張性を生かして半導体封止材料や半導体パッケージ基板などに、球状アルミナは高熱伝導性を活用し、車載リチウムイオンバッテリー、車載センサー(ADAS・LiDAR)、5G通信、IoT化などといった多岐にわたる放熱材料として広く使用され、市場から高い評価を獲得している。
同社では経営計画「Denka Value―Up」において5G、xEVを中心とした環境・エネルギー分野を重点分野の一つと位置付け、同分野において22 年度に営業利益220億円を目指している。今回の戦略投資によって、これら基盤技術の高機能化を推進し、5Gの伝送損失低減に対応する低誘電正接シリカ、微細化する先端半導体に適応した球状シリカ、さらには深刻化する電子機器の熱対策を球状アルミナとともに強力にサポートする球状マグネシアなど、中長期的な高機能フィラーの需要に対応すべく、高度なフィラー制御技術を集約し、設備を増強することによって、当該高機能分野でのデファクトスタンダード化を進めていく。加えて、Beyond 5G(6G)やxEV等のさらなる進化に伴うニーズにもスピード対応できるよう当該設備を活用していくとしている。