【ホース・チューブ・継手特集】東拓工業
半導体設備関連向けが伸長
3つのコア事業強化
東拓工業が手掛ける工業用ホース事業の現状は、前年同期と比較して2ケタ近い伸びとなっており、コロナ前の水準まで回復を遂げつつある。その中でも半導体設備関連向けのホースが大きく伸長しており、製品別では100度以下の流体の輸送に対応する高機能ホース「TACエコライン耐熱耐油100℃仕様」や、高機能ダクトホースの新製品「TACダクト耐摩耐油」などの注力製品の売り上げが前年同期比約2倍に伸びている。電設資材は前年を若干下回る水準で、これまで好調であった太陽光発電などの再生エネルギー関連向けにおいて、工事の規模や件数といったものが徐々に減少傾向をたどっている。インフラ補修関連の新アイテムが、こうした状況をカバーしているものの、前年の実績に及ばない状況となっている。土木資材については、国土強じん化推進事業による需要などで堅調に動いており、好調であった前年並みの販売状況を維持している。
同社ではこの度、国土交通省不燃認定を取得した「TAC耐熱ダクトMD―25」と高機能ダクトホース「TACダクト耐摩耐油」の2点の拡販に注力。「TAC耐熱ダクトMD―25」は、250度以下の熱風の吸排気等での使用が可能で、不燃認定を取得したことにより、不燃性を要するフレキシブルなダクト配管や防炎・防爆設備、工場配管の防火対策、電気・ガスの溶接火花の吸引等に使用することができる。特殊コーティングガラスクロスとステンレス補強芯を使用しており、繰り返しの伸縮や曲げ配管を可能としている。
「TACダクト耐摩耐油」は優れた耐摩耗性と耐油性を持ち、油分を含んだ粉粒体の輸送に最適。静電気防止効果にも優れており、金属加工の廃油、廃材の輸送のほか、集じん機用途、ガソリンべーパーの回収などにも適している。
なお、改正食品衛生法のポジティブリスト制度への対応については、注力製品として挙げた「TACエコライン耐熱耐油100℃仕様」や、「TAC SD―C食品」をはじめ、食品用ホースのほぼ全製品を対応させている(一部は2022年3月の生産から対応)。
ウィズコロナにおける業務、営業体制については、感染状況に合わせた出勤率を設定している。営業ではWEBと対面の両方で販売を行っていて、オンラインによる商談用にホームページ上に約30本の製品動画を取りそろえ、営業のバックアップ体制を整えている。
同社は昨年4月より5カ年計画「新・中期経営計画ACE2・0」をスタートさせている。新中計では工業、電設、土木といった3つのコア事業の強化と次世代に向けた新規事業の育成を目指す。中・長期的には、NAGASEグループとして全体でのサステナビリティの推進に取り組んでいく。
現在の最大の課題は、昨年からの原材料の高騰が収まらず、今年に入ってもさらに高騰が続いていることで、さらに電力費、物流費、梱包資材費など、あらゆるユーティリティコストの上昇が進んでいる。同社では昨年、顧客に対して価格改正をお願いし、理解を得ることができたものの、さらなる原材料高騰が続いており、今後の対応に苦慮している。