2022年5月10日

日本ゼオン
本社オフィスリニューアル

新しい働き方実現可能に

日本ゼオン(田中公章社長)は東京都千代田区の本社オフィスのリニューアルを実施し、4月1日より新たに運用を開始した。オープンにあたって先月22日、メディアに向けた見学会を開催。冒頭あいさつに立った田中社長は「当社が現在推進中の中期経営計画では、2030年のビジョンとして『社会の期待と社員の意欲に応える会社』と掲げている。具体的な全社戦略としては①カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーを実現する〝ものづくり〟への転換②既存事業の磨き上げと新規事業の探索③従業員がそれぞれの強みを発揮できる〝舞台〟を全員で創るを打ち出しており、ビジョンに掲げる〝社員の意欲に応える会社〟の実現に向けた取り組みの一環として今回の本社リニューアルに踏み切った。新オフィスは『社員一人ひとりがつながり、磨き上げる機会を提供する場』をコンセプトにしており、従来までの社員が仕事に取り組む場所から、『協働・共創』のコミュニケーション、セミナー、教育などを重点的に実施する拠点へと進化させていきたい」と今回のリニューアルに至った経緯と想いを語った。

新オフィスは「まずやってみよう」「つながろう」「磨き上げよう」という同社の新たな文化の中心になる〝広場〟にしていこうという想いを込めて「Z―SQUARE(ジースクエア)」と命名された。今回のリニューアルに向けては幅広い部門から選出されたメンバーによるオフィス改革プロジェクト(Z―HUB)を立ち上げて推進。「組織を超えたコラボレーションワーク」「つながりを強めるチームワーク」「専門性の高いソロワーク」の3つの戦略を柱に、イノベーションの創造に向けたビジョンの共有、業務効率化、情報の可視化、リアルとデジタルでの交流など16の方策を立案し、約1年かけて、さまざまな工夫とアイデアが盛り込まれたオフィスの実現へとこぎ着けた。同社ではこれまで中計における全社プロジェクトの中で「働き方改革」にも注力。今後の〝ポストコロナ〟時代を見据えながら、いかに生産性を上げ、価値を創出していくのかを主眼にこのオフィス改革プロジェクトを進めてきた。現在、本社に勤務する従業員は約500人在籍しているが新オフィスの定員は150名に設定。テレワークの普及を背景に現状の出社率は14%(約70名)ほどで推移しており、本社リニューアルプロジェクトの責任者を務めた松浦一慶取締役執行役員基盤事業本部長は「新オフィスの立ち上げにあたっては多様な働き方を念頭に在宅勤務をベースに進めてきた。在宅勤務が可能な部署とよりコミュニケーションが必要な部署は分かれているので、(コロナが収束しても)テレワークと出社のバランスをうまく取りながら以前の勤務体制に戻すことはない」と、今後の方向性について述べた。

同社首脳陣による説明の後は新オフィスの全容をくまなく見学することができた。新しいオフィスは同社が所在する新丸ノ内センタービルディングの14―15階の2フロアで、部署を横断したフリーアドレスを採用。従業員がその日の目的に応じてさまざまなエリアを自主的に選択・予約して活用できる。施工を手掛けた内田洋行が提供する最新鋭のICTインフラ基盤「Smart Office Naⅴigator(スマートオフィスナビゲーター)」を導入しており、このシステムによってモバイル端末から空き状況を検索。ソロワーク席、会議室、個室ブースなどを利用シーンに合わせて予約する。また在社する社員同士のスムーズなコミュニケーションに向けてはPCの位置情報をWi―Fiで取得してそれぞれの居場所を表示。さらにエリアごとの混雑状況も可視化させており、出社前に当日の働き方を効果的に選択できる上、従業員の安全性も一層向上させた。

それぞれのエリアを順を追って見ていくと、14階は多彩なAV機器を備えた多目的スペース「Co―LAB」をはじめ、来客用会議室「Connection」、電子掲示板を設置した情報共有の場「Z―SHARE」、大型モニターやカメラ、収音マイク、指向性スピーカーを備えた「Z―COMMUNITY14」などがある。これにより他拠点や外部との打ち合わせが可能。また15階には新オフィスのシンボルである内階段を囲む中心エリア「Z―HUB」のほか、可動式ホワイトボードで自由な配置が可能な「AgileSpot」、立ち仕事も可能な電動昇降デスクを設置したワークスペース「ReserⅴedSeat」や予約不要の「OpenSeat」などを完備。最後に見学した役員会議室「BoardRoom」では、同社のシクロオレフィンポリマーが使用された機器が設置されており、見学者はモニターに映し出された自身の姿を眺めながら、会議室の機能を確かめていた。