2022年5月15日

日本触媒
新社長に野田取締役

新トップの下で高収益化加速

日本触媒(五嶋祐治朗社長)は5月12日、野田和宏取締役常務執行役員を新社長に内定した。五嶋社長は取締役会長に就任する予定で、6月21日開催の株主総会および取締役において正式に決定する。同社では発表当日、大阪市中央区の大阪朝日生命会館において記者会見を開催し、五嶋社長と野田新社長が今後に向けた会社の展望などを明らかにした。野田取締役の選任については「経営企画職を経験し、グローバルな視点で策定した経営計画を遂行していく素質がある逸材と判断した。いろいろな議論をまとめ上げる能力も評価されており、社外取締役による推薦もあった」(五嶋社長)。

今回のトップ人事は、同社の長期ビジョン「TechnoAmenity For the Future」の下、2022年度からスタートする3カ年の中期経営計画「TechnoAmenity For the Future―I」の始動における新体制の一端で、新たなトップの下で中計を推進し、成長基盤の構築を一段と強力に推し進めるとともに、企業の高収益化に向けた展開を加速させる。

会見の冒頭、五嶋社長は「2017年7月に当社の社長に就任してから5年の歳月が経過したが、振り返ってみると就任当初から2年間は計画通りに順調に歩みを進めることができたものの、やがて米中の貿易摩擦問題がぼっ発し、新型コロナウイルス感染拡大による影響もあって事業内容も計画通りに進めることができなかった。非常に心残りであり、責任ある立場として心苦しい。2030年の目指す姿を定めた長期ビジョンを実現させるためにも、足元を徹底的に見直し、大きな変革を促す必要性に迫られている。本日発表の前期の業績において、大きく回復を遂げることができたことから、新たな経営計画への弾みがついたものと判断し、その実行役である社長の役職についても新たな逸材に託すことに決めた。後任となる野田新社長は、86年の当社入社以来40年近い社歴において社業の流れに沿って、常に中心的な存在感を発揮してきた。信頼性も高く、周囲から慕われている人となりについてもトップとして適任であると評価している。就任後はこれまでの経験を生かしながら、当社をしっかりと導いていってくれると期待している」と、今回のトップ人事の理由と経緯について語った。

野田新社長は、就任に先立って「当社のトップとして五嶋社長の路線を引き継ぎながら、新中計を着実にやり遂げたい。長期ビジョンで掲げた3つの変革をやり遂げ、新たな成長に向けてシフトしていく。一つ目の事業の変革については、既存分野から成長分野へとポートフォリオの変革を促し、市場のニーズに対応した収益性の高いソリューションズ事業を拡大していく。組織の変革については、多様な人材がやりがいを持って働くことのできる組織を目指す。環境対応への変革に向けては、カーボンニュートラルなど取り組むべき課題に対しては、当社の技術を生かすことで果たされるものと考えている。会社を継続的に成長させることのできる体質をつくり上げ、変革に対しては柔軟な姿勢で取り組み、社員の意識を大切にしながら、社長自ら先頭に立って日本触媒を発展させていきたい」と、今後の意気込みを語った。

五嶋社長は5年間の実績を自ら振り返り「心に残っている最も大きな事柄としては三洋化成工業との経営統合が中止になったことで、実現に至らなかったことは非常に残念に思っている。ソリューションズ事業の拡大に意欲を燃やしていたが、その取り組みは次のトップに委ねたい。可能性を見いだし、スピードを持って臨むことによって果たせるものと考えており期待感をもって見ている」と述べた。その言葉を受けて野田新社長は「企業の成長に向けては、ソリューションズ事業を伸ばす必要性を強くとらえており、そのために市場のニーズをくみ上げて商品ラインアップを充実させ、技術を磨き上げる。前中計で取り組んできた施策が花開いてきており、この中計で枠組みを作った上で、次の中計の3年間において市場と事業化の方向性を定める。五嶋社長から引き継ぎたいリーダーシップは、意思の強さや行動力に根差したもので、三洋化成工業との経営統合の案件を実現させるため、最後まで奮闘している姿を見て感銘を受けた。この姿勢は、当社の組織力のアップグレードにもつながる要素であると考えており、トップ自らが実践することによって周囲に浸透させていきたい。コミュニケーションも重視しており、話し合える機会を今まで以上に設けて、提案などをくみ上げることによってモチベーションを高めていく。社員の働きがいを高め、働きやすさ向上にもつながる組織づくりを常に心掛けていきたい」と述べ、新社長としての姿勢を印象付けた。