2022年5月30日

角一化成
「創業100周年感謝の集い」開催

数々の試練乗り越え大きな節目

自動車関連や家電向けなど、多岐にわたる分野で工業用ゴムとプラスチック製品の製造・販売を手掛ける角一化成(本社・大阪府吹田市、小島孝彦社長)は昨年8月1日、創業100周年という企業としての大きな節目を迎えた。1921年(大正10年)、商業者として出発した同社は、これまでの歴史の中でメーカーとしての機能を商社に融合。また近年では海外進出も果たし、独自の製品も展開する開発型企業としてさまざまな産業分野に貢献を続けている。同社では5月14日、取引先、同社OB、業界関係者などを招いて「創業100周年感謝の集い」を大阪市北区のリーガロイヤルホテルで開催。会場に集まった多くの参会者に小島社長は「当社がこうして100年もの長きにわたり事業を継続し、存続することができたのも本日ここに出席されている取引先の皆様と関係各位のご支援とお力添えがあってのこと」と礼を述べ、すべての関係者に深い感謝の気持ちを表した。

会場では開宴に先だってジャズバンドによる生演奏が行われ、参会者にまずは〝音楽でリラックスして楽しんでもらいたい〟という趣向でパーティーは幕を開けた。ボーカルを務めたichi―eさんは小島社長の実姉で、多くのライブ活動やコンサートで磨き上げられてきた伸びやかな歌声を披露。ichi―eさんは〝100年の道のりも1日にして成らず〟という想いを込めて「Day By Day」など、ジャズのスタンダード曲を心を込めて歌い上げた。

ジャズコンサート終了後、主催者としてあいさつに立った小島社長は「高知県出身の創業者である小島次男社長が50年、二代目の小島市郎社長が30年、そして私が経営のバトンを受けて20年という月日が流れた。振り返ればこの100年間は本当にさまざまな出来事があり、戦災で社屋を失い休業を余儀なくされたことや、その後のオイルショック、事業の中核であった家電関係の空洞化など数々の試練を乗り越えてきた先達の方々の奮闘に改めて敬意を表したい。

社内で常々話していることだが、当社が100年継続してきた理由は主に2つあると考えている。一つはゴム・プラスチックを扱う事業分野は変えずに時代のニーズに合わせて製品や会社の形態を変えてきたこと。具体的には商社に加えてメーカー機能を持たせたことや海外への進出、新技術の開発、自動車分野をはじめとする新規事業の立ち上げなどが挙げられる。もう一つは、理念の継承と実践ができていたことで〝真面目に一生懸命〟という社風を守ってきたことに尽きる。三代にわたって大切にしてきた理念は『着実前進』であり、これを社是として現在も掲げている。お陰様で創業100周年を迎えた前期ではこれまでの業績で最も大きな成果を出すことができた。これからも決しておごることなく、ひたすら汗をかきながら、お客様のお役に立てる会社であり続けたい。世界情勢はパンデミックやウクライナ紛争など予断を許さない状況が続いているが、どんな課題もこれまでの100年を歩んできた気概と力で乗り越え、お客様に喜んで頂ける仕事を全社が一丸となってやり遂げていきたい」と述べ、今後も変わることのない事業に取り組む姿勢を誓った。

引き続き、来賓を代表して祝辞を述べたイノアックコーポレーションの三輪健二郎代表取締役は「角一化成様は激動の時代の中、多くの困難を乗り越えながら発展し続けてこられた。100年間、事業を継承し続けることは多くの企業が荒波に飲み込まれていく中で大変な偉業であり、歴代の社長と小島社長の経営手腕には感服している。その秘けつは小島社長の経営理念にあると考えており〝幸せを素から創り出そう!〟という理念に集約されている。会社とはどうあるべきかを示す重要な言葉だと感じており、この言葉の表す3つの意味の一つとして、まず小島社長は社員の幸せの実現を一番大切に考えておられる。社員がいるからこそ事業を営むことができ、社員は幸せであるからこそ頑張ることができる。われわれ経営者が肝に命じておくべき大切な指針だ。また2つ目に重要な意味は〝素〟であり、常に原点に戻ってチャレンジするという意味と高分子という素材を応用した製品で社会に貢献していくという意味が込められている。そして3つ目の意味となる〝創りだそう〟という言葉には常に新しいものを創造し続けていくことの重要性が込められていると感じた。100年の長きにわたって事業を継承・成長してこられたのは、この経営理念に内包された強い信念が根底にあったからだと確信している」と述べ、同社の今後のさらなる発展と飛躍に期待を寄せた。

その後、ステージでは鏡開きが行われ、イノアックコーポレーションの三輪代表取締役、クラレプラスチックスの宇野将成社長、ゲイツ・ユニッタ・アジアの山本政秀マネージング・ダイレクター、東北ゴムの磯崎勇一社長、弘進ゴムの西井英正社長、小島社長の6名が法被をまとって登壇。威勢の良い掛け声を合図に一斉に木槌が打ち下ろされ、クラレプラスチックスの宇野社長の乾杯の発声で参会者はグラスを高く掲げた。

社会情勢を鑑みて感染予防に配慮された中での懇談であったが、パーティーは終始、和やかなムードで進行。会場で上映された〝100周年記念映像〟の中で小島社長は「当社では従来から環境に優しい熱可塑性エラストマーや硬質樹脂の2色成形のほか、現在では大型の2色成形など世の中にあまり存在しなかった分野に挑戦していることが持ち味だととらえている。これまで培ってきた部品メーカーとしてのノウハウを生かし、〝尖った小さいモノで鋭く突く〟というスタイルで今後も社会に貢献し続けていきたい」と話していた。