日精樹脂工業
「第四次中期経営計画」策定
グローバル環境経営さらに進化
日精樹脂工業(依田穂積社長)は5月31日、オンラインで「決算説明会」を開催し、同時に新たに策定した「第四次中期経営計画」の解説も行った。2022年度(23年3月期)を初年度とした、24年度(25年3月期)までの3カ年を実行期間とした経営計画で、同社ではこの3カ年においてグローバル環境経営をさらに進化させ、「フューチャーデザイン2026」の達成に向けた総仕上げを行う。
経営方針としては、世界規模で進展する市場変化の中にあって、真のグローバル経営の強化を図る。グローバル環境経営を強化し、高収益企業としてグローバルな展開を行い、グループ力を発揮する。その上で、グローバル市場への積極的展開により、営業力の強化と新たなビジネスモデルの創出によって売り上げを増大。顧客の課題解決型企業として、顧客の満足度を高める提案型営業を行い、ボーダレス化、IoT化に呼応して、グローバル市場への積極的な展開を図る。持続可能な開発目標(SDGs)、成形の条理を具現化する製品を計画的に投入する。
グローバル生産体制の強化に向け、5極生産体制によって生産能力を増強するとともに、生産技術力と品質保証体制を強化。加えて、グローバル調達体制の強化と、内製化率向上によりさらなるコストダウンを推進する。グローバルリスク管理体制の強化においては、リーガルリスクに対応した製・販・財戦略とグローバルマネジメント体制を強化。コーポレートガバナンス、BCPなどに対応したグローバルマネジメント体制の強化を図る。同時に、グローバルに対応できる人材育成も推し進める。
数値計画としては、23年3月期に連結売上高510億円、連結営業利益30億円、連結営業利益率5・9%、25年3月期の連結売上高640億円、連結営業利益42億円、連結営業利益6・5%を目指す。
同社では19年度(20年3月期)を初年度とした3カ年の第三次中期経営計画を着地させているが、その実行目標として〝グローバル経営を進化させ、グローバル環境への対応を図り、フューチャーデザイン2026の達成に向けた体制作りを行う〟という方針を制定。真のグローバル経営の強化、グローバル市場への積極的展開による販売増強、グローバル生産体制の強化、グローバルリスク管理体制の強化を進めてきた。
その結果、プロダクト戦略では、イタリア・ミラノのNEGRI BOSSIの株式取得による子会社化によって世界5極生産体制を確立、グローバル市場において最適な機種を最適地で生産する体制が一段と強化された。中国太倉工場を増床し、生産機種の見直しや生産の効率化も推進。海外工場での部材の現地調達率拡大、本社工場での大型工作機械導入による部品加工内製化を進めることによって、グローバルサプライチェーンの強化、生産効率化、コストダウンなどを実現してきた。
セールス戦略では、米国工場と米国販社を統合して製造・販売・財務の経営管理体制を一元化、経営の効率化を実現させた。日本国内においては、中大型機・竪型機・専用機の拡販に向けて、西日本テクニカルセンターを設置。ユーザーの利便性を考慮した営業展開を行い、コロナ禍における営業推進の場として本社、西日本などにおいてプライベート展を開催するなど、需要の創出を図った。
商品戦略では、中長期的なロードマップに基づいた計画的な商品開発を行い、低床竪型機のラインアップ、省スペース横型機の開発、電気式射出成形機のモデルチェンジなどを実施。ポリ乳酸(PLA)専用射出成形システムの開発・販売の取り組みを通じて、ゼロカーボンを意識した製品、サービスの普及拡大に尽力してきた。IoT技術を活用し、顧客の生産性向上に寄与するビジネスモデルの展開を図るなど、着々と実績と成果を残し、次のステップへの準備を整えてきた。
第四次中期経営計画では、同社グループが本年10月に創業75周年を迎えることで〝プラスチックをとおして人間社会を豊かにする〟の経営理念の下、取り組んできた事業活動が幅広い業種・業界に深くかかわり、人々の社会生活を支える上で欠かせない存在としての位置付けを確立。一方で海洋汚染問題や脱炭素社会の実現、資源循環システムの構築といった社会課題が新たに持ち上がっており、その解決に対して同社グループが製品開発や販売活動を通じて貢献していく先行きに期待が高まっているとともに、需要の拡大にもつながると予想される。
加えて、長期的な観点からの成長戦略や業績目標を見据えて取り組んできた経営目標であるフューチャーデザイン2026の達成に向けた総仕上げとして、世界5極生産体制と販売体制の強化とともに、社会課題の解決に根差した同社グループの企業価値向上につなげていく。