2021年2月5日

2021年3月期第3四半期決算説明会
JSR

半導体材料が伸長に貢献
CRO事業販売拡大

JSR(エリック・ジョンソンCEO)は1月25日、ウェブにおいて「決算説明会」を開催した。当期の売上収益は前年同期比11・7%減の3167億9600万円、コア営業利益は同47・7%減の161億3100万円、四半期利益は同64・8%減の66億7400万円となった。「当第3四半期連結累計期間において、当社の主な需要業界が新型コロナウイルス感染拡大による大きな影響を受けたが、半導体市場は社会に必要不可欠な基盤として、デジタル化の進展によるインフラやデバイス需要の拡大により堅調に推移した。フラットパネルディスプレイ市場は中国市場を中心に第2四半期以降回復に転じており、自動車生産については新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界規模での大幅減産から当第3四半期に向け回復の道をたどっている。自動車タイヤ生産も自動車生産と同じような状況にある」(宮崎秀樹取締役常務執行役員)。

セグメント別では、デジタルソリューション事業部門の売上収益は前年同期比3・0%増の1121億3500万円、コア営業利益は同8・5%増の266億6800万円。ディスプレイ材料とエッジコンピューティング材料の販売数量が減少したものの、半導体材料の販売数量が伸びたことで売上収益の伸びに貢献した。コア営業利益は半導体材料の販売数量の増加により前年同期を上回った。コア営業利益における増減要因は、販売価格の下落および為替差損、構成差による26億円、ディスプレイ材料の固定費減少分を半導体材料の固定費増加が上回ったことで、10億円のマイナス要因があったものの、ディスプレイ材料・エッジ材料の販売減少分を上回る半導体材料の販売拡大により、量的要因で57億円のプラス要因があり、全体としては前年同期の実績を上回った。QoQ(前四半期比)では、半導体材料・ディスプレス材料の販売拡大分がエッジ材料の販売減少分を上回ったことで6億円上回り、97億円となった。

ライフサイエンス事業部門の売上収益は同4・2%増の403億6000万円、コア営業利益は同29・6%減の29億4400万円。CRO事業(医薬品の開発支援事業)などの販売拡大により、売上収益は前年同期を上回った。コア営業利益は売上収益の増加に伴う利益の増加はあったものの、先行投資の増加および前年同期に発生した一時的収益の影響により前年同期を下回った。

エラストマー事業部門の売上収益は同27・3%減の992億6100万円、コア営業利益は126億8900万円の損失(前年同期は9億6100万円の利益)。新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要低迷によって販売数量が前年同期を大幅に下回った。コア営業利益は、販売数量の大幅な落ち込みによる影響を受けた。コア営業利益における増減要因は、販売減少による68億円、売買スプレッドの縮小および原材料費における在庫受払差による39億円、コスト減少、固定費における在庫受払差29億円などといったマイナス要因により、前年同期を下回った。QoQについては、売買スプレッドの縮小によるマイナス要因があったものの、原材料費における在庫受払差によって7億円、販売増加で20億円、在庫評価損の戻りおよびコスト削減効果、子会社の業績がプラス要因となり第2四半期時のマイナス分を相殺した。

合成樹脂事業部門の売上収益は同24・2%減の550億5400万円、コア営業利益は同53・3%減の24億9900万円。新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要低迷によって販売数量は前年同期を大幅に下回った。コア営業利益は、販売数量の大幅な落ち込みにより影響を受けた。コア営業利益における増減要因は、はコスト減少効果および固定費における在庫受払差による7億円の増益があったが、販売減少による27億円、売買スプレッド減少による9億円のマイナス要因が収益を押し下げた。QoQについては前四半期に対して15億円の販売増となり、売買スプレッドの減少といったマイナス要因があったものの、変動費における在庫受払差により3億円、固定費における在庫受払差による減益があったが、子会社の貢献によって盛り返した。

通期については直近公表の業績予想からの変更はなく、売上収益4200億円、コア営業利益195億円、当期利益95億円を見込んでいる。