三ツ星ベルト
「ハイブリッドシリコーン ベルト」市場の認知度高まる
三ツ星ベルトが手掛けているベルト事業のうち、搬送用ベルトの需要動向については、前年の好調な流れが現在も継続しており、今期の第2四半期(4-9月)までの樹脂ベルトの動きは食品・搬送業界向けが前年同期並みを維持。それ以降についても風向きに変化はなく、現在も順調な動きを見せている。ゴムコンベヤベルトについても受注を伸ばしており、リニア中央新幹線の建設、それらに伴う周囲の環境整備、トンネルや道路補修・新設といったインフラ整備など需要案件は多く、それらを的確につかむことで今後も業績の拡大につなげる。
同社では今年も、国際製パン製菓関連産業展「2019モバックショウ」、「2019国際食品工業展(FOOMA JAPAN2019)」に出展。「ママライン」のシリーズとして優れた離型性を備えた「ハイブリッドシリコーンベルト」、優れた離型性・グリップ力を誇る「シリコーンコーティングベルト」、ベルト表面の清掃を容易にするとともに衛生性も高めた「鏡面ベルト」、ほこりが付着しても、傾斜面での高い搬送能力を維持できる「1プライ高性能傾斜ベルト」などといった独自の技術を凝らした高付加価値商品を来場者に改めてアピールした。同社のブースには今年も数多くの来場者が詰め掛け、その反応からは商品に対するユーザーの手ごたえを確信。特にハイブリッドシリコーンベルトへの注目度は高く「市場への認知度も高まってきた。ユーザーの〝お困り事解決〟をきっかけに、それまで納入実績のなかったメーカーにも採用されるなど、評価の高まりとともに実績も伸ばしている」(同社)という。ベルトの更新時にハイブリッドシリコーンベルトに切り替えるケースも増加している。ハイブリッドシリコーンベルトは、ベルト表面にポリウレタンとシリコーン(ポリシロキサン)の共重合体であるハイブリッドシリコーンを新素材として採用。優れた離型効果とその持続性において、製パン業者や製菓業界などで高く評価されている。
パン生地や炊き立てご飯、つきたての餅など、非粘着性を必要とする搬送物は多いものの、材料の変化や新たな種類の食品の登場によって、そのニーズを満たす基準も多様。温度の違いや品種ごとの満足度を満たす必要があり、ユーザーへのち密な情報発信とニーズのくみ上げはメーカーにとっての重要な要素となる。同社では、それら製品を取り扱っている商社を対象とした勉強会を全国各地で延べ100回以上実施しており、ユーザーとの距離を縮めることで商品の認知度向上とともに満足度を高める体制を構築している。ユーザーニーズをくみ上げて製品化された〝耐浸透性ベルト〟は、ベルト表面の微細な凹凸をなくしたことで、肉やハンバーグから染み出る油や肉汁のベルトへの浸透を防ぐ。昨年の9月から販売が開始され、ハンバーグの製造ラインなどの用途で実績を積み重ねている一方、炒めたひき肉などを具材として用いるトルティーヤといった新たな食品の製造ラインにも採用事例が拡大。同社ではさまざまな業界に情報収集のアンテナを向け、需要の拡大に取り組んでいる。
このほか、鏡面ベルトは清掃面でのメンテナンス性が評価されているほか、1プライ高性能傾斜ベルトも、その付加価値から採用実績が拡大。光透過性ベルトは、光の透過性を高めることによって、目視による搬送物の精密な検査を可能にしたもので、クッキーの割れなどを発見するだけでなく、新鮮な野菜に付着した異物検出など幅広い現場で採用が進んでいる。
空港のターミナルの手荷物搬送ラインの物件も受注は好調。新設だけでなく、定期的な補修需要も見込まれることから安定した需要分野となっている。
今後に目を向けると物流分野は着実に伸びており、今後も物流拠点の増加に期待が寄せられている。そのため下期に向けても搬送用ベルトは好調に推移すると見ており、食品分野も安定して推移。昨年の実績が高水準であったことから、今期も同レベルの水準で着地するものと見込んでいる。