2019年12月25日

昭和電工
TOBで日立化成の株式取得

世界有数の素材メーカーへ
7事業領域で成長目指す

昭和電工(森川宏平社長)は、同社の完全子会社であるHCホールディングスを通じて日立化成(丸山寿執行役社長兼CEO)の普通株式を金融商品取引法による公開買付け(TOB)により取得することを決めた。

 昭和電工は電子材料用高純度ガスやハードディスク、黒鉛電極などといった既に特色を備えた個性派事業を手掛けており、世界的にもユニークな事業ポートフォリオを保有。本年よりスタートさせた3カ年の中期経営計画「The TOP2021」において、新たな個性派事業群の確立に取り組み、2025年には最低でも半数以上を個性派事業へと置き換える中期的な経営目標を立てている。日立化成は情報通信、モビリティ、エネルギー、ライフサイエンスといった4つの注力事業領域において、同社の技術的な強みを発揮。日立化成が備えている有機・無機化学両方に関する材料技術のほか、プロセス技術、評価技術をベースとし、顧客の課題を解決できる最適なソリューションを提供する〝グローバルトップクラスの高機能材料メーカー〟への変革を推進している昭和電工との一致した目指す姿を掲げている。今後、日本の素材メーカーがグローバルトップとして勝ち残るためには〝適正な規模の市場においてトップシェアを有するグローバルリーダーとして事業成長を加速させる〟取り組み、多様化かつ高度化する顧客ニーズに柔軟にこたえるために〝幅広い素材や技術を組み合わせたソリューション提供〟を行うことが重要となってきている。

 目指す姿、事業戦略において高い親和性を備えた両社の融合は、ソリューション提供を志向し、多くのグローバルトップシェア事業を備えた世界有数の素材メーカーを誕生させる。昭和電工は、日立化成との融合により、今後もグローバル競争の激化や市場構造の変化が予想される素材産業の未来において、顧客にとっての〝ワンストップ型先端材料パートナー〟となり、ともに産業構造を変えるような新しい事業体としての成長を目指す。また両社では互いが持つコア技術を組み合わせることで5G、半導体、自動車電動化などに向けた7つの事業領域での成長を目指していく。

 今回の公開買付者であるHCホールディングスは、今回の公開買付けのために昭和電工が設立した特別目的会社。買付けを行う株券などの種類は普通株式で、買付けなどの価格は普通株式1株当たり4630円。買付予定数は2億821万9903株。買付予定数の下限は1億3881万3300株(66・67%)。買付代金は9640億5815万890円の予定で、来年2月ごろには公開買付けを開始する予定。

 統合初年度よりキャッシュ創出力向上に向けた本格的な取り組みを実行。事業ポートフォリオの再編・見直しを着実に進め、統合後も継続して見直しを実施する。両社のコスト構造改革を統合初年度より断行。コストエナジーの確実な達成に向け、ニードルコークスをはじめとする原材料ならびに間接材の共同購買による調達費削減、製造プロセス・拠点の統廃合、本社機能の統廃合による間接費削減により、コスト面のシナジーとして3年後をめどに年間200億円以上の効果の実現を図る。

 日立化成の概要は次の通り。
 ▽所在地=東京都千代田区丸の内1―9―2▽設立=62年10月10日▽資本金=154億5436万3000円(19年9月30日現在)▽事業内容=機能材料および先端部品・システムの製造・加工および販売