カワタ
「2020年度中期経営計画」を発表
23年度3月期 売上高235億円に
ESG経営の推進に注力
カワタ(白石亙社長)は、「2020年度中期経営計画」を発表した。前中計で策定された、20年3月期における計画目標値であった売上高210億円、営業利益17億円、経常利益16億5000万円、当期利益11億9000万円に対して、着地年度であった前期実績が売上高211億9700万円、営業利益15億9300万円、経常利益16億3900万円、当期利益10億6400万円となり、売上高は計画値を達成したが、収益面に関しては、わずかに届かなかった。売上高では日本セグメントが堅調に推移し、東アジアセグメント、東南アジアセグメントおよび北中米セグメントの未達分をカバーできたことから計画値を達成。損益面では、日本セグメント、東南アジアセグメントにおいて計画値を達成できたが、東アジアセグメント、北中米セグメントにおける未達分をカバーしきれなかった(決算記事は5面に掲載)。
20年度中期経営計画における定量目標としては、23年度3月期の目標数値として、売上高235億円、営業利益21億5000万円、経常利益21億円、当期利益14億6000万円と設定。背景としては、米中の貿易摩擦に端を発した世界経済の減速、中国におけるEV関連投資の調整、中東や朝鮮半島における地政学的リスク、世界的な新型コロナウイルス感染拡大などにより、国内外の設備投資は当面厳しい局面が続くものと予測、そうした見通しを踏まえ、新素材、新エネルギー、AI分野を中心に、中長期的な投資は拡大が予想され、同社グループとしても積極的なアプローチを行う。自動車関連、電子部品関連業界は、すそ野も広く今後も伸びが期待できる業界であると見ており、引き続き同社の主力となる需要業界として力を注ぐ。世界レベルでの気候変動(CO2削減)、海洋プラスチック問題には、ユーザーの生産現場や生産品物を通じて解消に貢献、自社による直接的な事業活動を通じて積極的に問題に取り組んでいく。アジア諸国の生活向上に伴う汎用品生産の拡大に対応、北中米での自動車、ハイテク業界への取り組みにも力を入れる。日本国内においては、生産年齢人口の減少に伴う省人化投資、生産効率化投資は増加するものと見通しており、オリンピック終了後の万博等の大型プロジェクト、インターネット通信や交通・建築・土木などの社会インフラ整備に伴う需要にも着実に対応。グローバル展開する日系企業に向けては、日本国内のマザー工場、研究開発センターへのアプローチと実績づくりを強化する。
中期経営戦略の骨子として、まずは新規市場、成長分野における事業展開の強化を図る。情報収集、調査・分析、開発、プロモーションを強化、自動車業界のCASE進展における新技術、新機能への対応、二次電池(リチウムイオン等)関連業界向けの販売拡大、IoT、5G、AIなどといった世界規模の新技術や新規格への対応、レンズを含む光学部品業界への販売拡大、バイオプラスチックなど地球環境に優しい新素材への対応やプラスチックのリサイクル関連分野への販売強化を図ることで、時代のニーズに寄り添った事業展開を推進する。北中米における自動車、ハイテク、医療業界を中心とした販売拡大のための体制づくりを行い、日本におけるマザー工場、研究開発センターとの密接に連携した関係を構築する。
次いで既存市場、既存分野での販売拡大と収益力向上に力を注ぐ。地域や分野特有のニーズに対応した製品開発と販売、省エネルギー、省力化機器の開発と販売拡大、Q.C.D.(品質・コスト・納期)の継続強化による競争力の高い製品づくりに取り組む。グループ間や部門間における設計、製造、販売、サービスの情報の共有化と相乗効果の創出を図り、提案型営業、技術力向上、サービスの充実による顧客満足度の向上を目指す。
3本目の戦略目標として、経営基盤の強化とESG経営の推進に力を注ぐ。透明性の高いコーポレート・ガバナンスの実現、コンプライアンス意識の徹底による誠実な企業活動の推進、ステークホルダーとの共存共栄、CO2削減、廃プラスチックの削減、その他省エネ・省資源に向けて積極的な取り組みを図る。研究開発、技術力向上、人材開発への継続的な取り組みと、業容拡大のための戦略的投資を行い、ダイバーシティへの取り組みの強化と優秀な人材確保に向けたグローバル人材育成のための制度・運用とグループ間人材交流の強化を図る。生産、販売、サービスの拠点の新設と再編・再構築、中長期的にROE8%以上、株主資本配当率2・5%以上を安定的に確保することができる事業構造の構築を目指す。