2020年7月25日

東レ
リリウム社と供給契約締結

UAM用途向け
炭素繊維複合材料で

東レ(日覺昭廣社長)は、〝空飛ぶクルマ〟ともいわれるアーバン・エア・モビリティー(UAM)の機体製造、輸送サービス提供を行っているドイツのリリウム社(ダニエル・ウィーガンドCEO)との間で、リリウム社が開発中の「リリウム・ジェット」に使用する炭素繊維複合材料の供給契約を締結した。

UAMは、都市部の交通が抱える渋滞・騒音・大気汚染といった課題の解決につながる新交通システムとして期待されており、現在は各国において、UAMの商業運航開始に向けて機体や運航システムの開発、法制度の整備が進んでいる。UAMは、空飛ぶクルマとして、垂直離着陸が可能な小型電動機を主流に開発が進んでおり、リリウム社では、UAMの開発のトップランナーの一社であり、UAMの機体製造と輸送サービスの開発・事業を展開している。

UAMにおいては機体の軽量化など、さまざまな要求にこたえる目的から、炭素繊維複合材料の果たす役割が極めて重要。東レはUAMメーカーとの協業を深化させながら、機体の高性能化・省エネルギー化・低コスト化に向けた革新的な複合材料の開発を継続していく。今回のリリウム社との取り組みは、この一環として実現された。リリウム・ジェットは、300㌔㍍の距離を60分以内に飛行する5人乗りの垂直離着陸型で、胴体、主翼、動翼などに炭素繊維複合材料を使用。リリウム社では、2025年の商業運航開始に向けて機体の開発を推し進めている。

東レの炭素繊維複合材料事業は、今年5月に発表した中期経営課題「プロジェクトAP—G2022」において、UAM用途に向けた事業基盤を戦略的に拡充する方針。UAM特有の諸課題にこたえる炭素繊維複合材料の開発を通して、都市部における環境問題の解決に貢献していく。今後も、東レグループ内の連携をさらに強化し、市場のニーズに迅速に対応していくことで、素材の力で社会を変革していく。