ダウ
ケミカル日本・新社長就任会見開く
4つのアンビション掲げ発展を
ダウ・ケミカル日本は、8月1日付けで代表取締役社長に就任した、桜井恵理子氏によるオンライン記者会見を7月30日に開催し、就任あいさつを行うとともに、今後の経営方針について明らかにした。桜井社長は、同時にダウ・東レを含むダウ日本グループおよび韓国エリアを統括するプレジデント職を兼務している。同日付けで退任したピーター・ジェニングス前社長も会見に出席し、これまでトップとして務めてきた8年間にわたる周囲からの支援に対して、感謝の気持ちを示した。
桜井社長は冒頭、今後の重責を担う上で、従来以上に精力的な取り組みを誓うと同時に、ダウとともに日本の豊かな社会づくりに貢献していくための具体的な骨子を明示。「今後は日本地域をマネジメントしていくことになるが、ダウの目指す姿として〝イノベーティブ〟〝カスタマー・セントリック(顧客本位)〟〝サステナブル〟〝インクルーシブ〟という4つのアンビションを大切にしていきたい。世界レベルでの大きなうねりにさらされている状況にあって、イノベーションはこれまで以上に大きな意味を持ち、そうした時代において、日本という国の重要性はますます大きくなっている。日本発の世界に向けたイノベーションの推進により、事業部、そして国をまたがるコラボレーションが実現する。ダウでは、COVID―19感染防止に効果を上げた医療用ガウンを日本に提供してきたが、これはまさにわれわれの事業姿勢が具現化された一例と言える。このガウンには、自動車用のエアバッグの技術的特性が使用されており、それがウイルスを防ぐ効果も持ち合わせていた。全く新しい事態に遭遇しなければ、こうした新しい用途の広がりはなかったと思う。テーマがあればグループ全体で立ち向かい、ダイバーシティの体制で性別や人種の違いにかかわらず一つのチームとして最大限に力を発揮する。さまざまな業務に取り組んでいるが、働き方を考えながら責任感を持って取り組むことで働きがいを見いだし、結果を追求することで最大限の成果につなげていく」と力強く語った。
ダウの目指す姿として掲げた4つのアンビションの一つであるイノベーティブについては、顧客やバリューチェーンパートナーと協力し、明るい未来を実現する素材とソリューションを創出する。カスタマー・セントリックでは、顧客と緊密に協力し、顧客が抱える最大の課題を解決するソリューションの考案に貢献。直接もしくはオンラインによって簡単で楽しく、効果的な取り引きが進められるように最大限に努力する。サステナブルについては、地域社会や世界にプラスの変化を与える目的から、事業や製品の革新やパートナーシップを通じて、一段とサステナブルな地球への移行に向けてリードする。
サステナブルは、既に重要な取り組みとして一般化しているが「われわれにとっては事業の源であり、これを念頭に置かずに事業を推進していくことができないほど、象徴的な位置付けとなっている」(桜井社長)。目標としては、グローバル規模での温室ガスの排出削減、プラスチックごみの根絶、循環型社会経済の確立を掲げている。日本発の取り組みでは、カーボンプロジェクトの協定による食品ロスの削減であり、ダウグループではこうした姿勢を決して崩すことなく、今後も発展を続けていく。
引き続いて、ジェニングス前社長が退任のあいさつを行った。ジェニングス前社長は「桜井さんという後継者に恵まれて、とてもうれしく思う。この8年間にわたる皆さんのご支援には感謝しており、日本という素晴らしい国で事業をさせて頂けたことは、筆舌に尽くせないほどの素晴らしい経験だった」と述べ、感慨深い思いをしのばせながら後進に道を譲った。