西部工業用ゴム製品卸商業組合
「ベルト商工懇談会」を開催
内容の充実図り、情報交換
西部工業用ゴム製品卸商業組合(岡浩史理事長)は7月27日、大阪市北区の中央電気倶楽部において、「ベルト商工懇談会」を開催した。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、懇談会は万全の体制の下で実施。検温や消毒など、一般的な防護策を徹底。伝達案件や報告事項を絞り込み、商社からの質問事項についても事前に用意し、その回答を得ることで情報の内容を得るなど内容自体は充実させた。恒例の商工懇親会については、今回は企画されなかった。
当日は、組合員13社が出席し、メーカーからはベルトメーカー3社の4人を招いて情報交換を行った。開会に先立って司会役を務めた小島孝彦事業委員長は「このような時期にお集まり頂き感謝している。それだけに、ぜひとも有意義な時間としていきたい」と前置き。開会のあいさつに立った岡理事長は「新型コロナウイルスの脅威は、一時的に収束の気配を見せながらも第2波と言われるまでに驚異は拡大を続けている。大阪も危険度が増しており、今年は新年互例会以降、当組合が予定していた事業は、ことのほか中止にせざるを得なかった。感染拡大の抑止は不可欠な問題だけに、これに最大限の努力を払うのは当然だが、8月に予定していた夏季講習会も中止となり、研修会もセミナーもすべて中止を余議なくされている。ムード的にはこの流れが年内いっぱいは続き、来年の互例会の開催も危ういのではないかと考えている。そのため、研修会などをリモートで行うなど、何らかの手立てを講じていく必要があるだろう」と苦境に置かれている状況を語った。
ベルト流通動態調査の集計結果の概要が発表され、昨年10月~今年3月までのアンケートによる市場動向は、アンケート期間中の売上高は伝動、搬送用ベルトともに「やや落ちている(95%程度)」が「横ばい」と同様に主流であった。それ以外では「順調に伸びている(110%程度)」「ほぼ順調である(105%程度)」を占める比率と「落ちている(90%程度)」「かなり落ちている(85%以下)」の比率がほぼ同様の回答数となっており、明暗を分けた。価格推移に関しては、「あまり問題ない」「まあまあである」が多くを占めており、搬送用ベルトの「やや乱れている」を除くと大きな変化はないもよう。
続けてベルト業界を取り巻く環境として、バンドー化学の産業資材事業部・庄司直人営業部長が、最近の生産・販売状況について説明した。業界別では、通信・食品・医療が比較的堅調であり、工作機械などは内外需とも下落傾向を示している。その一方でロボットは好調であり、半導体分野の勢いが衰えている状況にあって、5Gや各種設備の刷新などでロボットの伸びとともに半導体分野も盛り返すのではないかと見ている。種類別では、コンベヤベルトは自動車の生産台数の減少によって厳しい環境に置かれているが、搬送用樹脂ベルトに関しては国内の大型投資が一巡化した感はあるものの、これからも安定した分野には違いないと分析した。
次いで、部会からの提議・質疑・意見交換に移り、活発な議論が繰り広げられた。商社側からは、「コロナ騒動による環境変化によって、海外生産比率が高まることで、納期の遅れが発生するのではないか」という問い掛けに対して、メーカー側は「海外生産も行っているが、地産地消の体制で行っており、国内需要については国内独自に対応を行っている」と回答した。価格面について、商社側は「需要がシュリンクし、販売価格も下落する状況にある。メーカーとしてはどういった対策を考えているか」という質問に対しては「確かにサイズやタイプを幅広く展開することでユーザーの確実なニーズにこたえやすい状況はプラス面として働くが、メーカーとしてはあえて在庫を縮小することでコストダウンが図られるよう取り組んでいる。品種を絞り込むことで価格も抑えられる」「新グレードをラインアップに加えた際に、古いタイプの品種の扱いに困っている。在庫として持ち続けるのであれば、コストダウンにはつながらず、廃版にすれば他社の品ぞろえより劣る可能性がある。この判断は商社の皆さんの考えに委ねたい」と苦渋の選択に立たされている厳しい立場を強調した。
商社側のベルト業界がたどる今後の展望としては、メーカー側からの回答として「コロナという災いにあっても各業界のユーザーは自社の生産ラインを止めることはできない。新しい開発を進めながら、V字とまでいかなくても、少しでも上向くよう立ち向かっていくしかない。補修需要は失われないが、新しい投資による組み込み部材としては厳しいかもしれない。補修と新規開発による、組み込み需要の新規開拓に努力するように動くことがベストであると思う。見方を変えれば、コロナ禍は、われわれの生活や経済システムを変革させる大きな転換点なのかもしれない。自動車業界も大きな変革期を迎えているが、われわれの今後の展望としては、経済が持ち直し、明るい日常を迎えるまで、何としても踏ん張っていく」と、意欲のほどを述べていた。