積水化学工業
開発研究所にMIC開設
戦略分野のイノベーション創出加速
積水化学工業(加藤敬太社長)の高機能プラスチックスカンパニーは、1961年に大阪府三島郡に建設した同カンパニーの主要研究開発拠点である開発研究所内に、規模拡大とイノベーションの一層の加速を目指した「水無瀬イノベーションセンター(通称、MIC)」を併設した。
同社では前中期経営計画(17年度~)より、〝融合〟を経営戦略上のキーワードとし、社内外の技術・機会・リソースの融合による新たな価値創出を図っている。特に高機能プラスチックスカンパニーの3つの戦略分野(エレクトロニクス・モビリティ・住インフラ材)においては、通信業界における5Gの普及、自動車業界の自動運転を含むCASEの進展など、通信や自動車業界の変容に伴い、各分野を横断した人や情報の融合がイノベーション創出のため、重要さを増している。MIC開設により、社内外での融合を促進し、社会課題解決と同社グループおよび高機能プラスチックスカンパニーの成長に貢献するイノベーションの創出をさらに推進していく。
「ゼブレディ」(年間の一次エネルギー消費量の収支を設計値で50%以上削減した先進建築物)および「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)Sランク」の各認証を取得しているMICでは、オープンイノベーションスペースを設置。MICの1階部分を、来訪者のためのオープンイノベーションスペースとしている。スペース内には、「テクノロジーガレージ」と名付けられた展示・デモ実験エリアが設けられており、高機能プラスチックスカンパニーの最新技術・製品とともに、昨年制作したコンセプトカーが常設されるほか、実験設備を備えた「ラボスタジオ」や打ち合わせスペースを併設。相手先との意見交換やプロトタイピングを促進し、スピーディーにイノベーションのタネを創出し、さまざまな人々との関係強化も図る。
2~5階はアイデア創出スペース・オフィス・実験室・カフェテリアとなっており、エレクトロニクスやモビリティ、住インフラ材など同カンパニーの戦略分野の社員間の交流・共創を促す。そのため、らせん状の回遊型通路を採用しているほか、気軽に対話できるスペースを随所に設けるなど、設計上の工夫が施されている。これまで以上に、エレクトロニクスやモビリティ、住インフラ等の技術や知見を融合したソリューションが求められていることに対応し、社内の技術や知見の融合を図る。
新型コロナウイルス感染防止の観点で、顧客との対面機会が抑制されていることも踏まえ、ウェブを活用した打ち合わせ・プレゼンテーションやプロトタイピング方法についても検討を進め、コロナ禍の中でもMICを社内外のオープンイノベーション拠点として効果的な活用を図る。
【MICの概要】
▽所在地=大阪府三島郡島本町百山2―1▽建築規模=5階建▽延床面積=5967㎡