2020年9月25日

ブリヂストン
「中長期事業戦略進捗」説明会開く

技術イノベーション促進
“成長の起爆剤”に

ブリヂストン(石橋秀一CEOは)9月15日、ウェブ配信によって「中長期事業戦略進捗」説明会を開催した。同社の中長期事業戦略の概要と〝目指すべき姿〟については、かねてより説明会を通じて発表を行ってきたが、今回は、その最新進ちょく状況ならびに新たに「サステナブルなビジネスを支える技術イノベーションの取り組み」について説明した。同社では〝技術イノベーション〟の促進こそ、成長への新たな起爆剤としての大きな役割を果たすという考えを強調。イノベーション拠点として東京都小平市で開発を進めている「ブリヂストンイノベーションパーク」を技術イノベーションの推進における中核拠点と位置付けており、その完成予定の2021年に向けて順次、進ちょく状況と戦略概要を報告、来年2月には満を持して「中長期事業戦略構想」を軸とした中期事業計画を発表する。

今回の説明会はウェブ配信をメーンに実施されたが、一部来場者を募り、新型コロナウイルス感染対策を万全に講じた上で、今年6月に完成したパーク内の「ブリヂストンイノベーションギャラリー」に招待、施設の一部に実際に接することで、同社の今後の企業としての理想の一端を感じとる機会をつくった。

ウェブによる説明会には石橋CEO、坂野真人CTOが出席。冒頭、石橋CEOは「既に7月と8月にわたって構想の説明を行い、戦略の進ちょく状況を説明してきたが、この後、11月の決算発表会、そしていよいよ来年2月にはイノベーションパーク第1期の構築具合に合わせて順次報告していきたい」と今後のスケジュールについて前置きを行った。

〝2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ〟をビジョンに、それを支える要素が技術イノベーションであると定義。リアルとデジタルの融合により、継続的にイノベーションを起こす取り組みであり「これはわれわれに与えられた使命として断行する」(石橋CEO)。技術イノベーションこそが〝成長の起爆剤〟としてコア事業、成長事業をさらに上に押し上げる。そのためにも第1期総投資額として300億円を投じ、技術イノベーションを加速させる実質的機能だけでなく象徴的な役割も担う拠点づくりに踏み切った。ブリヂストンイノベーションパークには、技術イノベーションというキーワード以外にも、①日本のモータリゼーションへの貢献②地域と従業員のコミュニティ③地域の環境、働く人の健康という3つの思いが込められており、企業としての歩みや事業、未来への道筋を表現するだけでなく、新たな社会づくりのモデルエリアとしても注目されている。安全で快適なモビリティ社会を支えるだけでなく、すべての人々の生き生きとした生涯生活を支える。そして持続可能な地球環境を実現する。「この3つの思いがあってこそイノベーションパークとしての存在意義はある」(同)。

そのためにはパートナーとリアルとデジタルで価値を共創し、高い親和性をもって共同研究、共研契約を基にチャレンジし、実体化させる。臨場感を備えたVR共議により、検討内容をその場で共有することによってリアルとデジタルは融合。〝すぐに形にして、すぐに試す〟を繰り返すアジャイルな開発を可能にする。

技術イノベーションについては、坂野CTOが解説。これまではゴムの持つ複雑な挙動が新たな可能性を切り開く開発の部分を困難にしてきた一面があり、ゴムに関する現場の匠と呼ばれる技術者を困惑させてきた。その経験値や技術は、ゴムの〝リアル〟な一面として受け止められていたが、ブリヂストンではこれをデジタルと融合。これによってソリューションを生み出し、得られた情報や技術を製品にフィードバッグすることで顧客満足度を高める。その成果として強いリアルと構造CAEシミュレーションによって生み出された製品が鉱山車両用タイヤ「マスターコア」であり、先進の乗用車用タイヤ技術「エンライトン」が実際に社会価値、顧客価値をつくり出している。同社には、リアルとデジタルの融合によるイノベーションを導き出す独自のアルゴリズム(計算手順)を備えており、今後このアルゴリズムを強化することによって〝断トツ〟のソリューションを打ち出していく。