【ホース・チューブ・継手特集】ニッタ
今は潮目の変わり時
未参入の分野への提案注力
ニッタの2021年3月期におけるホース・チューブ製品事業の業績については、国内、海外ともに、半導体製造装置向けチューブが堅調に推移した。その一方で、建設機械向けホース製品、自動車向けチューブ製品やエアブレーキ製品が伸び悩んだことで、前年同期比20・8%減となった。新型コロナウイルスによる影響は多くの需要業界で拡大しており、先行きの見通せない不透明な状況は持続すると見られている。
注力製品の動きと新製品の状況については、超柔軟樹脂ホース「ラインメイトLB70シリーズ」、柔軟難燃チューブ「FUKチューブ」など、各製品における採用は増えているものの、市況低迷の影響によって売り上げの伸びは想定よりも低調。現状においては、半導体製造装置は好調さを維持しているが、今後踊り場を迎える。
同社では新製品として自動工具交換装置「NITTAOMEGA type XM」の販売を8月より開始。軽量・薄型を特長とした「NITTAOMEGA type M」の上位可搬タイプで、250~350㌔㌘の可搬に対応している。「ラインアップの拡大によって、市場のニーズにおこたえしていきたい。ホース、チューブ製品についても、市場ニーズの収集と新製品開発に注力していきたい」(同社)。
新型コロナについては、社内的な対応、対外的な営業活動、従来の業務からの見直しも迫られる局面でもあり、社内的な対応を実施中。社員やその家族の体調報告をルール化し、同社とそのグループ会社の社員の健康管理に乗り出した。生産工場への感染防止策としては、名張工場では、出勤時の顔認証や検温システムを実施。ニッタ・ムアー事業部では、行動範囲の見直しや濃厚接触者を特定可能にする訓練にも取り組んでいる。
また〝三密〟を避ける目的からテレワークの導入、リモート会議の活用など、新型コロナウイルス感染への防止を全社的に執り行っている。8月24日には、初となるウェブ形式を取り入れた「ニッタスクール」を開催。全国から代理店35社、83人が参加し、リモートにおける多人数会議の可能性の一端を実証した。
ただし営業面においては、外部環境との接点が減少することによって、顧客サイドとの面会自粛、テレワークが進んでいることから訪問面談の機会も減少している。
日本のみならず、世界各国の見本市・展示会・発表会などといった自社製品をアピールする場も減っている状況でもあり、そういった局面が解消されるまでは、提案力・発信力の向上、ウェブを活用した積極的な営業活動などによって、ユーザーとのコミュニケーションを維持していく。ホームページも重視し、その内容の充実についても検討している。そういった時代の潮目の変わり時にあって「ウィズコロナに関連して成長する業種など当社がいまだ参入できていないアプリケーションに向けての提案活動、製品開発にも力を注いでいく。デジタル化の発展、浸透により半導体関連は今後も成長すると予想している」(同社)。