2020年10月25日

ムーンスター
第93期(2020年6月期)決算を発表

新型コロナウイルスが大きく影響

ムーンスター(井田祥一社長)は、第93期(2020年6月期)の決算について発表した。

履物業界においても、新型コロナウイルスによる急激な消費の落ち込みによる厳しい経営環境に見舞われており、売上高は前期比11・5%減の320億2300万円、営業損失は9億2200万円、経常損失は7億5700万円(前期は2億3300万円の利益)、最終損益は減損損失の計上などもあって当期純損失10億300万円(同8600万円の損失)となった。売上原価は233億7800万円で、売上総利益の86億4400万円を販売費ならびに一般管理費が上回った。売上面では、コロナ禍にあっても、国内外の安定供給に支えられ、生活必需品である学校用品は、堅調に売り上げを維持。消費者の自粛生活も後押しとなり、EC事業も着実に売り上げを伸ばした。しかしながら、春夏ものの新製品を中心とした主力商品の売り上げは、経済活動の停止により激減し、近年になく利益確保には苦戦した。

カテゴリー別の販売状況については、こども・ジュニアは重点ハウスブランドである「スーパースター」「キャロット」の拡売を推進したが、春の最需要期にコロナ禍による外出の自粛、学校の休校(春の運動会中止等)、店舗の休業を受け、前期の実績を大きく割り込んだ。学校用品は児童・生徒数の減少が続く中、積極的な新規開拓を進めてきた結果、前期並みの実績を確保したものの、こども・ジュニアトータルでは前期比92%となった。

紳士・婦人は市況全般に厳しい環境が続く中、コロナ禍による追い打ちもあって重点ハウスブランドである「ワールドマーチ」「スポルス」「EVE」の実績が振るわず、前期比76%と伸び悩んだ。

ユース・ブランドでは新たに「810s」を市場に投入、非常に大きな反響を得たことで、店頭では常に品薄の状況が継続、ユース商品をけん引している。昨年春から展開している「Champion」は前期から手ごたえを得ており、ユース・ブランド全体では前期比122%となった。

コンバース商品、ニューバランス商品はコロナ禍による在庫増に見舞われ、一部得意先からは納品キャンセルの申し出を受けるなど、3~5月にかけて大きく減少した。この結果、コンバース商品は前期比79%、ニューバランス商品は同96%の実績にとどまった。

このような経営環境の下、ブランディング活動をさらに推進し、ブランドを〝作る〟ための戦略的拠点として「ALSO MOONSTAR」を福岡に開店、同時にブランドの〝価値を伝える〟ためのオウンドメディアとして〝In Use〟のサイトをオープンさせた。18年にブランドを〝発信する〟ため、東京・銀座に開店した「MOONSTAR Factory Ginza」と合わせ、消費者と同社によるコミュニティを構築するための、戦略的拠点を整備。今後の拡販戦略の推進力として役立て、業績の向上に向けて尽力する。

今後については、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、企業の収益環境の悪化や、個人消費の後退などといった、経済の先行き不透明な状況が当面は続くものと見込まれる。今期は、コロナ後を見据え、さらなるブランディングの強化に向けた3つのコミュニティ〝ALSO MOONSTAR〟〝MOONSTAR Factory Ginza〟〝In Use〟を活用し、ものづくり企業としての強みを生かしながら、収益基盤の安定化に努める。