ユーシン精機
2021年3月期第2四半期決算
売上総利益率1・8㌽上昇
北米で増収増益達成
ユーシン精機(小谷眞由美社長)は10日、ウェブ配信において決算説明会を開催した。説明会には小谷社長をはじめ、小谷高代副社長、福井理仁取締役が出席。チャットによる質疑応答にも応じた。
決算概要については小谷社長自らが説明。それによると売上高は前年同期比22・1%減の80億7200万円、営業利益は同30・6%減の8億7100万円、経常利益は同23・2%減の9億円、四半期純利益は同21・3%減の6億5900万円となった。ただし売上高ならびに利益各項目とも本年8月5日に上方修正した上期業績予想は上回った。新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、企業活動は引き続き大きく制限され、世界経済がマイナス成長に陥る厳しい状況に直面。中国・韓国をはじめとするアジアの一部の国においては足元での回復傾向は見られるものの、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せず、経済への影響が長期化することが懸念され、先行き不透明な状況が継続している。そうした状況にあって、売上高は設備投資の延期・凍結による影響が大きく、営業利益については、オンライン会議、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=定型業務自動化技術)活用などの業務効率化による販管費低減に取り組んだものの、減収による利益の押し下げが大きかった。医療関連は需要が増加、製品ミックスによる売上総利益率が、前年同期の39・8%から41・6%(前年同期比1・8㌽上昇)と改善した。
地域別では、設備投資意欲の減退により日本・アジアでの取出ロボットの販売が伸び悩み、日本での売上高が前年同期比23・1%減の55億4296万円、セグメント利益が同42・5%減の2億7425万円。アジアでの売上高が同19・3%減の17億4551万円、セグメント利益が同47・4%減の1億20万円。北米が医療関係を中心に堅調に推移したことで、米国の売上高が同5・9%増の16億8706万円、セグメント利益は同64・1%増の2億6040万円と増収増益となった。欧州での特注機は一定の売り上げがあったものの、納品時期の違いにより売上高は同14・5%減の11億9084万円、セグメント利益は同21・4%増の2億199万円となった。
品目別売上高は取出ロボットが同26・5%減の50億663万円、特注機が同17・3%減の16億4576万円、部品・保守サービスが同9・3%減の14億1965万円。
新型コロナウイルス感染拡大による影響では、自動車生産台数の低下という要因が大きく、このマイナス分が業績全体に大きな影を落とした。外食から家庭内での中食志向の高まりから、直接的な食品の容器向け、宅配用のプラスチックボックスなどの需要が拡大し、韓国を手始めに世界的な広がりを見せた。しかしながら、業績への貢献度は弱く「自動車産業が回復するだけでパーセンテージは変わってくる」(小谷社長)状況になっている。
今期については、直近公表の業績予想からの変更はなく、売上高は170億円、営業利益は16億円、経常利益は16億1000万円、当期純利益は11億5000万円を見込んでいる。エビデンスとしては、取出ロボット、特注機ともに医療関連は堅調に推移すると見ているものの、日本、アジアともに市況は不透明。収益面は継続的にコストダウンに取り組むほか、業務効率化による販管費低減効果は見込めるものの、減収による利益の押し下げは通期も継続するものと同社では見ている。