2020年11月25日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】バンドー化学
ウェブ通じ情報発信

対面とリモートで商談活動

バンドー化学の搬送用ベルト分野の近況は、新型コロナウイルス感染症による需要低迷の影響が向かい風となり、2021年3月期の第2四半期のゴムコンベヤベルトの売上高は、前年同期の実績に及ばなかった。高炉バンキングにより鉄鋼向けの販売が大きく減少。ゴムコンベヤベルトは製品の製造納期が長いことから、春先のコロナ禍による需要減退の影響が表出するタイミングが、伝動ベルトなどの他の製品に比べて遅れてやってくる傾向がある。そうした背景から、下期以降も当面は厳しい状況が継続すると予想している。自動車生産の回復によって、一部で持ち直しの傾向があるものの、高炉バンキングが解除されるまでは、ゴムコンベヤベルト自体の実需要増にはつながらないのが現状。厳しい需要環境にあって、同社では急傾斜コンベヤベルトや、密閉搬送のニーズに対応したパイプコンベヤベルトなどといった特長品を中心に受注獲得に向けた取り組みを推進していく。同じく特長品である超非付着性コンベヤベルト「イージーリリースNeo」の拡販にも力を注ぐ。運搬物の付着・堆積対策に最適なコンベヤベルトで、従来品の「イージーリリースベルト」と比較して、大幅に非付着性能を向上。ベルトクリーナなどで容易にリリースできる。石炭や鉄鉱石の運搬では、従来品と比較して付着量を約80~90%削減。素材の特殊配合によって、優れた非付着性能が持続する。耐摩耗性についても、従来品と比較して約30%向上している。これらのような特長品による販売拡大戦略とともに、ベルトを販売して使ってもらうだけの状態で終わらせず、アフターサービスを一段と充実させていくことで顧客満足度をさらに高めていく。

2021年3月期の第2四半期の樹脂コンベヤベルトの売上高も、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けて伸び悩んだ。コロナ禍の情勢に阻まれ、ユーザーへの訪問がままならなかったことや、マスクや消毒液などといったコロナ対策に向けて予算を充てざるを得なかった事情も影響し、ベルト交換が先送りされた状況も販売面では逆風となった。経済活動が再開され、コロナ対策を継続した状況下での稼働であるが、特に制限が厳しかった年度前半に比べると、徐々に回復傾向にある。

物流向けは、前年同期は大型案件を受注したことによる売り上げ増の影響もあり、前年同期比ではマイナスとなった。しかしながら、包装・紙工向けについては個包装の高まりや通販の増加によって堅調に推移している。

「FOOMA JAPAN 2020大阪(国際食品工業展)」など、多くの展示会が軒並み中止の決断を余儀なくされ、新製品情報の発信の機会が減少。同社では、展示会の中止や、ユーザーへの訪問自体が難しくなった現状を受けて、その代替手段として7月末に自社ウェブサイトに特設サイト「BANDO SHOWROOM」をオープン。イラストや動画を活用して、製品の特長が伝わるように工夫している。「このサイトを経由して商談につながった事例も出てきており、新製品の掲載、ウェビナーなどを継続実施することで、対面とリモートをうまく組み合わせた活動によって成果を出していきたい」(同社)。

製品戦略としては、非付着性を高めた製品へのニーズが高まっている背景から、近年発売した食品用非付着性ベルトの新製品「ミスターNスティック」「ミスターシルキータッチ」に注力。ミスターNスティックは、ベルト表面のしゃもじ絞(凸型)形状により、米飯など粘着力の高い搬送物に対する優れた非付着性と耐久性を付与している。ベルト裏面は含浸帆布面で、蛇行防止桟の加工が可能。表面樹脂には、非付着性樹脂タイプと耐湿熱樹脂タイプの2種類をラインアップしている。ミスターシルキータッチは、シリコーン―ポリウレタンハイブリッドコーティングで、ベルト表面をカバーすることでベルト表面の離型性と滑り性を両立。パン・菓子生地、生菓子などの搬送、フィルム包装用ラインに適している。国内の食品衛生法(厚生省告示第370号)、欧州のPIMにも適合している。