2020年1月10日

タイガースポリマー
インタビュー

新製品開発に尽力
新規事業部の活動にも一段と注力

タイガースポリマー 渡辺 健太郎社長

【昨年を振り返って】
 2019年度の第2四半期までは、自動車向けが好調に推移したものの、ホース・シートといった汎用品が伸び悩んだことで、売上高、利益ともに前年同期の実績を割り込んだ。下期の10月以降に入ってからは、汎用品の持ち直しがあったものの、自動車向け分野において、納入先の生産スケジュール変更を受けたほか、昨年に納入を予定していた製品の立ち上げが取引先の事情で遅れたこともあり、下期の業績に影響を受けることになった。海外市場においても、輸出拠点であるタイのタイガーポリ(タイランド)(TPT)が業績を落としたほか、米国のタイガーポリMFG(TPM)についても、低迷から脱し切れなかった。米国における自動車部品の業績低迷の要因としては、米国での物流費、人件費の高騰が大きい。特に人件費は米国内の好景気により、人員が十分に集まらず、教育にも苦労したことで、生産が悪化するという悪循環に悩まされた状況などが影響した。米中貿易摩擦の影響もあり、日本の設備投資も下火になっているほか、輸出も停滞局面にあることから日本国内の経済状態も思わしくなかった。東南アジアではマレーシアが伸び悩んでいる。中国においては浙江省の杭州泰賀塑化(TPH)は大きな変動はなかったものの、広東省で自動車部品を生産している広州泰賀塑料(TPG)が堅調であったことから、中国市場としては前年同期並みの実績で落ち着いている。米国で産業用ホースを手掛けているタイガーフレックスコーポレーション(TFC)は約10%の売り上げ増を達成した。

【現状分析と今後の展望は】
 世界的に市況が不安定であり、来期の需要環境についても厳しく見ている。第2四半期の単独決算についても、売上高は前年同期比3%減となっており、国内市場も景気の下振れが感じられる。原材料価格については上期の価格高騰から徐々に値下げ方向に傾いており、この傾向は収益面のプラス要因として継続すると予測しているが、人件費が高騰しており、物流費も値上げの風潮が一段と強まっていることから、固定費増による収益圧迫要因が目立ってきている。

 下期の見通しとしては、米国のTPMについては底を打った感があり、来期辺りから回復すると見ている。設備投資を行うことで新たに工場棟を新設し、生産ラインを導入することで需要拡大のタイミングを確実にとらえる。タイのTPTに対しても大きな期待を寄せており、米国のTFCについては今期において増収増益で着地するとみている。中国の2会社は現状の状態を維持していくと予想している。汎用品の見通しは直近予測でさえ難しいが、ディーラーなどの情報収集力を活用させて頂きながら結果に結び付ける。仕切り直しで進めている基幹システムの構築についても、2021年4月には稼働させたい。

【今後に向けての課題について】
 当社では自動車部品の売上高と、ホース・シート他の汎用品の売上高がほぼ2分の1ずつとなっており、両方をバランスよく成長させ、収益を確保していく必要がある。汎用品では、既存の製品に新たな付加価値を持たせた新製品開発に尽力してシェアアップにつなげるとともに、当社の事業に新たな柱を打ち立てるべく、新規事業部の活動にも一段と力を注いでいく。自動車部品では、中心となる吸気系部品において当社の設計技術をさらに磨き、他社の追随を許さないようにする。また、EV(電気自動車)化の進展により、新たな部品需要も発生してくるものと予想されるため、こうした事態への準備を前向きに行いたい。

 現在、新しい中期経営計画の策定にも乗り出しており、今年の3月ごろには大方針を盛り込んだ計画を打ち出していく。この厳しい世界情勢を念頭に置きながら、今後の事業展開と市況を精査した目標を立てた上で必ずや必達させる。