タイガースポリマー
新春トップインタビュー
知恵と活力最大限に発揮
新製品、新市場の開拓を目指す
【2020年を振り返って】
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響から、国内では外出規制やインバウンド需要の減少、海外では都市封鎖措置や米中貿易摩擦などによって世界規模で経済環境の悪化に見舞われ、当社にとっても厳しい事業環境を強いられた。米州の都市封鎖措置による影響などによって、2021年3月期第2四半期の業績は売上高で前年同期比18・5%減の163億3000万円、営業損失1億5100万円、経常損失は7400万円、四半期純損失は3億100万円となり売り上げ、収益面とも厳しい結果となった。地域セグメントでみると、日本、米州、東南アジアについては、販売の減少などによって減収減益であったが、中国では販売減に陥りながらも、労務費や経費の削減によって増益を果たした。国内は自動車部品、産業用ホース、ゴムシートともに売り上げが伸び悩み、加えて減価償却費増加などの影響を受けて収益面も前年同期の実績に届かなかった。米州は、米国・メキシコにおける自動車部品が、新型コロナウイルス感染症の影響によって取引先が生産休止を決めたことで、売り上げを大幅に落とした。産業用ホースについても、新型コロナウイルス感染症拡大によって受注が減少し、営業利益においても減収により営業損失を余儀なくされた。東南アジアにおいては、タイでは取引先の操業停止、マレーシアでもロックダウンによる企業活動制限令により、自動車用部品、家電用ホースともに売上高に影響し、それに伴って収益面でも厳しい状況となった。中国は、売上高は第2四半期から回復傾向にあるものの自動車部品、家電用ホースともに伸び悩んだ。営業利益については、労務費や諸経費の削減効果もあって、前年同期の実績を上回ったことで減収増益となった。
【新型コロナウイルス感染症の影響と対応策、今後の方針について】
新型コロナウイルス感染症の拡大により、直接的な需要の減少だけでなく、主要取引先の生産調整の影響もあって売り上げ面に大きく響いた。人件費や経費の削減などといったコスト面の圧縮に力を注いだものの、収益面についても減収の影響をカバーできなかった。特に上期において、新型コロナウイルス感染症によるダメージは顕著であったが、下期に入ってからは売上高・生産高ともに回復傾向をたどっている。
企業としての感染防止体制としては、社内に対策本部を設置し、情報の一元管理を行い、社内通達などによってマスクの着用、換気、外出自粛などといった基本的な対応の徹底に加え、感染が疑われる場合の対応についても手順を定めた。原則的に出張は禁止で、相手先への直接訪問の回避に向けての検討も促している。リモートワーク、時差出勤の実施、社内においては消毒薬の常備やデスクパーテーションの設置などを行うなど注意を行き渡らせることで、感染リスクの低減を可能な限り実践している。社外においても就業後の速やかな帰宅の意識を持ってもらうほか、取引先などとの飲食を伴う会食は原則禁止にしている。プライベートであっても、食事会やゴルフの集まりなどといった、不要不急の行動は極力回避するようアナウンスしている。
【2021年に向けての見通しと方針について】
コロナ禍によってダメージを受けた各分野での回復を図り、業績の改善を図る。国内の市場においては、自社のシェアを上げていく施策として新製品、新市場の開拓を目指し、全社員の知恵と活力を最大限に発揮できる仕事環境が醸成されるような施策の創出に取り組んでいく。コロナ禍をきっかけに導入したテレワークなどの働き方改革も含め、社員の生産性を上げていく取り組みも重要な課題と考えており、その原動力である働く意義の再考を促しながら、従業員のやりがいを高める施策として、当社で働く喜びを感じられる環境づくり、人事、評価システムの見直しも進めていきたいと考えている。来期からスタートする新基幹システムの効率的な運用を優先施策に置きながら、さまざまな面から社内の効率的な業務遂行に向けた環境づくりを行っていく。変化への対応としては、当社は2000年前半からHEV車向けの分野に分け入っており、そこで培った部品開発技術を生かしてEV、FCV、PHEV、SーHEV車などに向けて電動化部品の取り組みを強化していく。将来的には従来の吸気系と並ぶ当社の事業の柱として成長させていく。
今期の通期の業績予想としては、新型コロナウイルス感染症の影響を合理的に算出できなかった側面もあり、当初は未定としてきたが、昨年11月11日に連結修正予想を行い、公表している。現在策定中の2022年3月期の計画については、今期の見通しを踏まえ、新型コロナウイルス感染症拡大のダメージからの回復、既存事業の業績改善などを軸として戦略を見直しながら策定していく。