2021年2月5日

アシックス
カシオとの価値共創事業が始動

Gショックを利用してコーチング

アシックス(廣田康人社長)は1月27日、オンラインを通じて記者会見を開催し、カシオ計算機(樫尾和宏社長、以下、カシオ)との間で、ランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix(ランメトリックス)」の提供を契機とした、スポーツを通じ、健康で活気ある社会の実現を目指した価値共創事業を本格的にスタートさせると発表した。スポーツが心身の健康にもたらす効果に注目し、カシオがもつウエアラブルデバイスの開発力やセンシング技術のノウハウと、アシックスがもつスポーツ工学の知見やデータという両社の強みを生かすことで、スポーツ・健康市場において一人ひとりにパーソナライズされたユーザー体験の提供を進めていく。

会見で廣田社長は「カシオさんはスマートウォッチやゴルフスイングのセンサーなど、スポーツ分野におけるコンシューマーデバイスにおいて多彩なノウハウで強みを発揮してきた。カシオさんとはランナー向けのサービスとして、ハードウェアの設計開発とセンシング技術を生かした新たな取り組みに向けて事業を進めていく。当社としては、スポーツ工学研究所においてデータ解析とコーチングサービスに活用する機能を実現した技術を開発しており、この両社の強みが掛け合わされる形となって、今回の取り組みがスタートした」と契機について説明した。

樫尾社長は「国内を代表する、それぞれの分野で強みを持った国内トップ企業が共創することによって、初めて実現した新しいランニング体験を提供する。当社はウエアラブルデバイスに力を注いでおり、アシックスさんはランニングに関する知見を豊富に持ち合わせている。この二つの掛け合わせによって得られた新しい価値によって世界の概念を変えていく」と意気込みを示した。

共創事業の第一弾としては、ランナー向けパーソナルコーチングサービスであるランメトリックスの提供で、両社の強みを生かしたアプリと端末により、初心者から上級者まで、ランナーの目的やレベルに合わせたパーソナルコーチングを実現する。両社では、今回の構想の積極的な推進に向けて合弁会社の設立を検討している。

アプリは先月27日より先行してリリースされており、3月4日に発売されるモーションセンサー「CMT―S20R―AS」「G―SHOCK(Gショック)GSR―H1000AS」と連携させることでコーチングサービスの利用が可能になる。3月4日以前はスマホのGPSを利用することで走行時間や距離、軌跡などランニング計測と記録の管理を実施することが可能になる。

内閣府のSociety5・0でも訴求されている課題として、医療や介護に依存することなく、自立した生活を送ることができる健康寿命という考え方の重要性が拡大。デジタル技術を用いたリモートでのコーチングシステムに対する需要が増すことが予想されていることから、それらをサポートする取り組みが求められている。

その課題を解決する目的から、アシックスとカシオの共創により、アプリ、モーションセンサー、そしてGショックを組み合わせたランナー向けのパーソナルコーチングサービスであるランメトリックスを開発。モーションセンサーを用いることにより、ランニングに関する20種類以上の指標を算出してランナーにとって分かりやすい項目に置き換え、走りの特徴を可視化することで、改善点や練習プログラムなどを提示する。従来のアプリサービスの多くは距離、ペース、ピッチ、ストライドといった項目を測定して記録するといった機能がメーンだったが、今回のサービスでは、ランナーのニーズに一段と寄り添った機能を搭載することで、モチベーションの維持向上をサポートする。

今後は、ランニングだけでなく健康領域にも拡大を進め、両社では共創事業の第二弾としてウオーキングの新サービス「Walkmetrix(ウォークメトリックス)」の提供も予定しており、本年10月の導入を目指す。各自治体の健康的な街づくりの取り組みをサポートするなど、サービスの提供以外においてもスポーツ&ウエルネスソサエティーの実現を目指した事業を積極的に進めていく。

ランメトリックスは、トップランナー層によるトレーニングシークエンスを一般化。ランナーの上級者は自身の走り方をデータ化し、専門知識を持っているコーチの指導を受けて実力を高めるといった取り組みが積極的に行われている。しかしながら一般ランナーにおいては、そうした機会に巡り合うことが珍しい環境から、そうした課題を解決する目的で、今回のパーソナルコーチングサービスが開発された。

GPSや9軸センサーを搭載したモーションセンサーとしてのCMT―S20R―ASを腰に装着して走ることで、走行距離やペース、ピッチ、ストライドに加えて、体幹の傾きや骨盤の回転、接地衝撃などといったフォームに関する指標を多数算出。それらの指標を基に、アプリ上において3Dフォーム分析や改善のためのアドバイスを掲示し、目的に合わせた練習プランや、解析結果を基に提示されるストレッチ、筋力トレーニングから成る〝からだづくりプログラム〟を作成する。GショックのGSR―H1000ASを活用すると、ランニング中にペースや距離、心拍などの情報も確認することができる上、モーションセンサーと連携することによって、フォーム指標のリアルタイムでの確認や、フォームの乱れを検知して通知することも可能となる。

これらの製品は、全国の主要家電量販店やECサイトのほか、アシックス直営店各店およびアシックスオンラインストアや、同じく全国7カ所に展開されているGショックのアンテナショップでも販売される。販売面においても両社の強みを融合させながら展開を進めていく。

価格については、アプリケーションのランメトリックスは無料で提供され、Gショック/モーションセンサーであるGSR―H1000ASセットは5万7200円。モーションセンサーのCMT―S20R―ASは1万4080円。発売は3月4日からだが、1月28日より予約を受け付けている。

なお、GショックのGSR―H1000ASの単体販売は行われていない。