2021年2月25日

ダイセル
中期戦略「Accelerate2025」策定

財務体質の強化にも注力

ダイセル(小河義美社長)はこのほど、中期戦略「Accelerate2025―Ⅱ」を策定した。定量目標としては最終年度の25年に売上高5000億円、営業利益700億円、営業利益率14・0%、当期純利益480億円、EBITDA1160億円、ROE18・0%を目指す。

昨年6月5日に発表した中期戦略「Accelerate2025」では、策定時点で新型コロナウイルスの感染拡大の渦中にあったことから、その対応を優先することとし、具体的な経営目標については、情況の推移を見極めながら、改めて策定することとしていた。その間、コロナ禍への対応とともに、Accelerate2025に掲げた施策にも着実に取り組みながら、さらに議論を重ね、Accelerate2025―Ⅱとして具体的な経営目標を取りまとめた。

Accelerate2025では、同社グループの成長とサステナブル社会(循環型社会)構築への貢献を目指すことを明言。このうちのいくつかの施策は、セイフティSBUの構造改革やポリプラスチックスの完全子会社化など、2020年度に一定の前進・成果を上げており、これらを弾みに、今後さらに諸施策を加速させていく。

今回策定したAccelerate2025―Ⅱでは、同社グループが考えるサステナブル社会構築への道筋を示すとともに、それにつながる具体的な経営施策と、その遂行によって達成を図る当面の業績目標が示されている。

中期戦略期間の前半は、減価償却費などで一時的に営業利益が低下するものの、全社的なコストダウンの徹底と同時に、成長けん引事業であるセイフティSBUの効率化やポリプラスチックスの生産能力増強を進め、非事業用資産の売却など財務体質の強化にも取り組むことによって、業績回復と資本効率の向上を図る。期間後半には成長けん引、育成事業などに経営資源を重点配分しながら、クロスバリューチェーン構築に向けた施策を加速させていく。

主な計画としては21年にCO(酢酸原料)、1,3BG(化粧品原料)プラントを稼働させ、22年にセイフティSBU生産地集約の完了、半導体関連製品の増産を図り、23年にはCOC増設プラントとインドのインフレータ生産拠点を稼働させる。24年にエポキシ(過酢酸誘導体)増産、LCP増設プラントの稼働、25年にPOM増設プラントを稼働させる。

資金創出力に向けては収益力強化に加え、適正在庫化などCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)削減効果で資金創出力向上を図り、非事業用資産売却によって資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用する。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応する。

ポリプラスチックスの完全子会社化のシナジー効果としては25年度までにグローバル展開の加速(将来需要取り込みのための増産投資、欧米市場への拡販)で130億円、コストダウンシナジーの実現(ダイセル式生産革新の展開加速、間接部門の効率的運営)で60億円、グループシナジーの最大化(ポリプラスチックスのマーケティング力の活用、R&Dリソースの相互活用実施、触媒効率改善など既存事業の改善および改良)10億円の合計200億円を織り込んでいる。