〈2021年3月期決算説明会〉バンドー化学
通期予想全部上回る
自動車回復、原価低減効果
バンドー化学(吉井満隆社長)は5月24日、ウェブを通じて「決算説明会」を開催した。新型コロナウイルス感染拡大の災禍にあって危機管理活動を継続しながらも、中長期経営計画に沿った改革を推進。その結果、売上収益は前期比9・8%減の813億7100万円、コア営業利益は同6・0%減の49億3800万円、営業利益は同161・4%増の53億7700万円、当期利益は同477・7%増の39億4300万円となった。2020年3月期の投資活動として、M&A実施におけるAimedic MMTにおける支出分92億円が含まれていたことなどから営業利益、当期利益の伸び率は大きな数字となった。実態として、2月10日に同社が発表した通期業績予想値よりすべて上回っており、売上収益で予想値比1・7%増、コア営業利益同23・5%増、営業利益同19・5%増、当期利益同31・4%増と確実に上昇基調に戻しつつある状況を裏付けている。「新型コロナウイルス感染拡大による国内外経済への影響に対して情勢的にも慎重な見方をしていたが、国内外で自動車事業を中心に想定を上回るペースで売上収益が回復しており、徹底した原価低減活動による効果もあって特に利益においては予想を上回った」(同社)。コア営業利益の増減分析を見ると、増益要因であった販管費の減少分1742億円、売上原価率の変動412億円、為替による販管費の減少160億円という増収分があったものの、コロナ禍における売り上げ減による粗利減少が2350億円と大きく、為替差損による粗利減少277億円という収益圧迫要因も追随した結果、前期の実績を下回った。
配当については、配当性向30%をめどに安定した利益配当を実施。利益還元の充実に努め、1株当たり26円(30・0%)を予定している。
セグメント別では、自動車部品事業の売上収益は前期比10・2%減の349億7500万円、セグメント利益は同12・1%増の23億8600万円。国内においては、積極的な営業活動により補修市場向け新商材や多用途四輪車用変速ベルトの販売が増加したものの、第2四半期までの自動車生産台数減少の影響が大きかった。海外では、中国で自動車生産台数が好調に推移したことにより、自動車メーカー向け補機駆動用伝動ベルトなどの販売が伸長。欧州においても積極的な営業活動が効果を上げ、補修市場向け補機駆動用伝動ベルトなどの販売が増加した。
産業資材事業の売上収益は同7・7%減の302億3200万円、セグメント利益は同2・0%増の22億3800万円。一般産業用伝動ベルトについては、国内における機械受注の減少により、産業機械用伝動ベルトの販売が減少した。海外においては中国、アジア地域などで農業・産業機械用伝動ベルトの販売が増加、しかしながら米国での産業機械用伝動ベルトの販売は減少した。運搬ベルトについては、国内市場が伸び悩んだ。
高機能エラストマー製品事業の売上収益は同13・2%減の118億8300万円、セグメント損失は1億2900万円(前期は3億3300万円の利益)。機能フイルム製品については、建築着工の落ち込みなどにより建築資材用、工業資材用および装飾表示用フイルムなどの販売が減少した。精密機能部品については、主要顧客の生産は回復傾向にあるものの、年度前半の減産の影響が大きく、精密ベルト、高機能ローラ、ブレードなどの販売が減少した。
その他事業の売上収益は同3・7%減の53億6800万円、セグメント利益は同43・1%減の3億3900万円。産業機械分野での減産などでロボット関連デバイス事業の販売が減少した。
今期については、各国の経済政策の実施などにより、景気の回復が期待されることから、売上収益は前期比10・6%増の900億円、コア営業利益は同21・5%増の60億円、営業利益は同20・9%増の65億円、当期利益は同14・1%増の45億円を見込んでいる。