〈2021年3月期決算説明会〉三ツ星ベルト
世界的に需要が回復
想定以上の状況に増配実施
三ツ星ベルト(垣内一社長)は21日、ウェブを通じて「決算説明会」を行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要業界も苦戦を与儀なくされ、同社もその影響に見舞われたが、業種間格差はあるものの、生産や個人消費で持ち直しの動きが顕在化。そうした状況にあって、同社グループの売上高は前期比8・7%減の648億6200万円、営業利益は同31・9%減の49億6800万円、経常利益は同24・8%減の57億5900万円、当期純利益は同25・6%減の40億6600万円となった。営業利益の変動要因は、売上高の影響によって36億円、減価償却費の増加によって6億5000万円の収益圧迫要因が大きく、プラス面として働いた原材料価格の影響3億1000万円、労務費・人件費の低減による7億8000万円、その他要因による8億3000万円の増益分を上回った。「減価償却費の増加には設備投資に伴う内容が含まれており、その他要因にはコロナ禍の影響による事業活動の見直し」(同社)といった体制強化的費用が含まれている。設備投資項目としては、2020年度(37億円)においてはベルト製造設備やITシステムの整備を継続、21年度(45億円)では国内外での設備の更新・増強、試験研究設備の一層の充実が計画されている。
配当金については、グローバルな需要の回復傾向が見られ、減価低減への取り組みも奏功。予想を上回ることができたことから、当期の期末配当を1株につき30円(中間配当を含む年間配当57円)となり、前期と比較して3円の増配を実施する予定。
国内外での事業別では、国内ベルト事業の売上高は前期比9・1%減の247億7700万円、営業利益は同26・6%減の47億6200万円。自動車用ベルトは、組み込みライン用や純正補修向けの販売がユーザーの生産回復に伴って増加傾向にあるものの、期間前半の大きな落ち込みを取り戻せなかった。一般産業用ベルトや搬送ベルト、合成樹脂素材についても、期間を通じて国内企業の生産活動が低調であったことから伸び悩んだ。
海外ベルト事業の売上高は同8・9%減の296億1100万円、営業利益は同20・6%減の27億3500万円。年度当初に各国が実施したロックダウンにより経済活動が停滞したことから、同事業全体の売上高は期間累計では減少した。しかしながら第3四半期以降、自動車用ベルトは米国や中国において需要の回復がみられ、年度当初に比べ大幅に受注が増加。一般産業用ベルトは、中国や東南アジアにおいて農業機械向けの需要が回復し通期では伸びた。OA機器用ベルトについては、オフィス向け機器の生産が減少した影響により売上高が減少した。
ベルト全体の売上高は同9・0%減の543億8800万円で、その用途別の内訳は、自動車用が同11・5%減の271億100万円、一般産業用が同3・6%減の188億6900万円、OA機器用が同14・0%減の22億1900万円、搬送用が同12・1%減の35億900万円、合成樹脂素材が同10・2%減の26億9000万円。
建設資材事業の売上高は同16・4%減の57億4700万円、営業利益は同11・7%増の2億9100万円。建築部門は屋上防水改修工事の発注や進ちょくの遅れ、土木部門では、廃棄物処分場などの工事物件の減少や規模縮小の影響により売上高が伸び悩んだ。
その他(エンジニアリング ストラクチュラル フォーム、金属ナノ粒子を応用した新製品、仕入商品等を含む)の売上高は同7・0%増の47億2600万円、営業利益は同123・4%増の1億2300万円となった。
今期については、売上高を前期比7・9%増の700億円、営業利益を同46・9%増の73億円、経常利益を同26・8%増の73億円、当期純利益を同30・3%増の53億円を見込んでいる。