〈2021年3月期決算説明会〉ニッタ
業績修正予想を達成
中計に沿って上昇基調へ
ニッタ(石切山靖順社長)は14日、大阪市浪速区の同本社で決算説明会を、新型コロナウイルス感染対策の万全の体制の下で行った。当日は石切山社長が詳細と見通しについて解説。それによると売上高は前期比6・2%減の786億9700万円、営業利益は同18・9%減の28億6100万円、経常利益は同21・6%減の59億1000万円、当期純利益は同23・2%減の47億2300万円となり、昨年11月に公表された業績修正予想値に対しては、ほぼ予定通りに着地した。本来、同社は営業利益よりも経常利益でアドバンテージを発揮するレジリエンスに優れた企業として評価されてきたが、今回はコロナ禍によって、半導体製造業を除く、さまざまな分野が低調に推移。高付加価値製品群も痛手を被り、収益を維持する努力が及ばなかった。ただしコロナ禍も収束に向かう気配を漂わせており「今期の第1四半期に至っては予定通りに回復基調でスタートを切っており、国内外のグループ企業も中期経営計画にのっとって順調に推移している。特に中国の回復力が顕著であり、好調な半導体製造業とともに、今期は増収増益を果たして上昇基調を継続させる」(石切山社長)。今期予想では、営業利益(本業で得た利益)が前期比8・3%増であるのに対し、経常利益(グループ全体で得られた利益)は同38・7%増と見込んでおり、大幅な回復予想を立てている。
当期期末の1株当たりの配当金については、株主総会における承認を前提に、普通配当35円に、記念配当5円を上乗せした40円とする予定で、中間配当金の普通配当30円と合わせ1株当たり配当金は70円とする予定。
セグメント別では、ベルト・ゴム製品事業の売上高は同6・2%減の253億2900万円、セグメント利益は減収の影響により同18・7%減の16億400万円。国内では、物流業界向けや半導体業界向けが堅調に推移したが、金融機器向けや工作機械向けが伸び悩んだ。海外では、物流業界向けや郵便業界向けが堅調に推移した。
ホース・チューブ製品事業の売上高は同9・4%減の267億7600万円、セグメント利益は同29・7%減の9億200万円。国内では、半導体製造装置向けは堅調であったものの、自動車業界向けは、第3四半期以降で回復傾向に転じながらも、年度前半の落ち込みを取り戻すまでには至らなかった。海外では、中国で第2四半期以降に建設機械向け需要が回復したものの、北米や韓国などでは自動車業界向けを中心に低調が続いた。
化工品事業の売上高は同8・2%減の120億7000万円、セグメント利益は同59・9%減の7600万円。国内では、鉄道向け高機能製品が堅調に推移したが、産業資材や防水資材、建設資材製品が伸び悩んだ。海外では、OA機器向け高機能製品が低調に推移した。
その他産業用製品事業の売上高は同3・9%増の110億2700万円、セグメント利益は経費削減効果などが大きな成果を上げ同160・8%増の3億4800万円。空調製品は、測定器の需要が堅調であったことに加え、検査キットが好調に推移。フィルタの新規建築物件は、コロナ禍の影響により低調ながら、感温性粘着テープは、電子部品製造向けが好調を維持した。
不動産事業の売上高は同5・7%減の8億3600万円、セグメント利益は同22・0%減の2億6200万円。
経営指導事業の売上高は同5・3%増の13億6900万円、セグメント利益は同6・9%増の12億6000万円。
自動車運転免許教習事業や北海道における山林事業で構成されるその他の事業の売上高は同5・1%減の12億8700万円、セグメント利益同69・9%減の3100万円となった。
今期については、売上高が前期比8・9%増の800億円、営業利益は同8・3%増の31億円、経常利益同38・7%増の82億円、当期純利益を同41・8%増の36億円を見込んでいる。