アシックス
3年ぶりに売上高1000億円突破
21年12月期第1四半期決算
営業利益も黒字に転換
アシックス(廣田康人社長)は5月13日、電話会議を通じて2021年12月期第1四半期の決算発表会を行った。当日は廣田社長、執行役員の林晃司経理財務統括部長が出席。「今第1四半期は3年ぶりに売上高1000億円を突破し、営業利益も黒字に転換し、しかも大幅増益を達成することができた」(廣田社長)とこれまでの取り組みに対する成果を語った。当期の売上高は前期比24・8%増の1065億4900万円、営業利益は146億400万円、経常利益は147億3200万円、四半期純利益は104億8500万円となった。売上総利益についても増収の効果により、同32・3%増の531億9100万円と伸びた。増収の要因としては主力であるパフォーマンスランニングシューズの売り上げが大きく伸長しており、特に米欧中オセアニアの市場がけん引した。ECの売り上げも好調に推移しており、同86%増となり、ビジネスとしての成長ぶりは顕著。利益面も営業利益が増収ならびに粗利率改善効果によって好調さが目立っており、黒字化と大幅増益という念願をかなえた。粗利率は49・9%で同2・8㌽改善しており、収益性にフォーカスした同社のビジネス戦略が的中。EC売上構成比率の上昇なども数値上の追い風として働いた。北米市場も12四半期ぶりに黒字に転換し、大幅増収による変動費の増加はあるものの、販管費コントロールによって、前年同期に対して25億円の削減を達成している。
カテゴリー別では、全種目で増収を遂げており、特にパフォーマンスランニングの好調ぶりが顕著。パフォーマンスランニングの売上高は同43・5%増の544億6800万円、カテゴリー利益は同197・1%増の143億5600万円という大幅な伸び率。増収効果に加え、粗利益率の改善、販売費および一般管理費の減少が効果を示した。バーチャルレースを含めた販売施策およびEC先行発売などが成功を収めた。
コアパフォーマンススポーツの売上高は同18・3%増の135億7000万円、カテゴリー利益は同114・3%増の30億5000万円という伸長率。増収効果に加え、販売費および一般管理費の減少などが高収益に結び付いた。地域別では、日本、北米、欧州、中華圏での好調ぶりが目立っている。
スポーツスタイルの売上高は同20・2%増の88億4600万円、カテゴリー利益は同266・7%増の16億9600万円と大幅増益。粗利益率の改善に加え、販売費および一般管理費の減少が貢献した。欧州、中華圏、オセアニア地域でのEC売り上げ好調も業績を押し上げた。
アパレル・エクィップメントの売上高は同2・4%増の87億3300万円、カテゴリー利益は、粗利益率の改善ならびに販売費および一般管理費の減少により、5億8100万円と、黒字化を果たした。
オニツカタイガーの売上高は同30・0%増の98億7900万円、カテゴリー利益は同109・7%増の20億1900万円と大幅に増益。増収効果に加え、粗利益率の上昇が好結果を招いた。特に中華圏で2倍を超える増収を果たしている。
通期については、直近公表の業績予想に対して修正を行う。当第1四半期の業績において、北米、欧州、中華圏、オセアニア地域を中心に増収となり、特に主力カテゴリーであるパフォーマンスランニングの売り上げが大きく伸長。営業利益においても粗利益率の改善および販管費コントロールにより黒字に転換するなど、当初予測よりも好調に推移している。パフォーマンスランニングの好調も継続するものと見込んでおり、同社では通期の業績(振れ幅を考慮し、レンジによって表現)を当初予想より売上高を100億円~150億円、営業利益を35億円~45億円、経常利益を50億円~60億円の範囲で業績予想の上方修正を実施。当期純利益に関しては外部環境が不透明な状況でもあることから、特別損失の計上などを想定して控えめに見積もり、前回公表値の予想を据え置く。これらの結果、通期については前期比17・1%~20・1%増の3850億円~3950億円、営業利益は115億円~135億円、経常利益は100億円~120億円、当期純利益は20億円~35億円と予想している。