2021年7月5日

住友ゴム工業
最先端研究施設を見学

材料研究の勉強会も

住友ゴム工業(山本悟社長)は6月21日、最先端研究施設である兵庫県佐用郡の大型放射光施設「SPring―8(スプリングエイト)」およびX線自由電子レーザー施設「SACLA(サクラ)」の見学会を現地とオンラインで開催した。当日は住友ゴム工業研究開発本部分析センターの岸本浩通センター長、理化学研究所の放射光科学研究センターの石川哲也センター長、同研究所の放射光科学研究センター長室の松本泰子氏ら参加の下、行われた。

見学会の前には、「SPring―8活用から始まった大型スーパーコンピュータとAI・情報科学の活用」のテーマで、住友ゴム工業の岸本センター長が同社の材料研究について説明を行った。同社ではスタッドレスタイヤ開発や低燃費タイヤ「エナセーブ」の開発の際に課題解決のため、同施設を活用し、成功を遂げた。岸本センター長は「新材料開発を行うには、スプリングエイトのような最先端研究施設とコンピュータシミュレーションの組み合わせが重要となる。今後は富岳の活用により、さらに〝広いスケール〟や〝走行中の化学変化〟をとらえるシミュレーションにより新材料開発を促進させていきたいと考えている」と述べた。

スプリングエイトは1周1436㍍の円形の施設で、1997年の供用開始から20年以上経過した現在でも最先端の学術研究やイノベーション創出に必須のツールとして、産学官の広範な研究開発分野において幅広く利用されており、欧州のESRF、米国のAPSと並び、世界最先端の放射光利用環境として諸外国からも高い評価を受けている。サクラは直線700㍍の大型施設で、わが国発の技術であるCバンド加速器や真空封止アンジュレータを利用したコンパクトな設計で、スプリングエイトの放射光と比べ10ケタ以上輝度が高い上、コヒーレント性に優れたX線自由電子レーザーを安定的に利用できる施設として2012年に整備された。

見学会の参加者たちは、理化学研究所の松本氏、石川センター長の丁寧な説明に熱心に聞き入っていたが、オンライン参加者も現地で参加しているような臨場感のある動画を視聴することができた。