〈2021年12月期第2四半期決算説明会〉横浜ゴム
収益すべて過去最高
MB、ATG事業も貢献
横浜ゴムは(山石昌孝社長)は11日、ライブ配信を通じて「決算説明会」を開催した。それによると売上収益は、ハマタイト事業を除いた継続事業ベースで前年同期比27・7%増の3038億8800万円、事業利益は本社ビルの譲渡益計上などにより、同1186・8%増の263億2200万円、営業利益は同1513・2%増の486億4900万円、四半期利益は同2838・4%増の369億3300万円となった。物流費や原材料の高騰といったマイナス要因があったものの、収益面はいずれも過去最高を更新した。
同社では「中期経営計画〝YX2023〟の下、既存事業における強みの〝深化〟と大変革時代のニーズにこたえる新しい価値の〝探索〟を同時に推進し、次世代の成長に向けた〝変革〟によって2023年度には過去最高の売上収益7000億円、事業利益700億円の達成を目指す」と改めて、強い意志を示した。
同社では、本年4月28日にスイスに本社を置くSika社との間で、ハマタイト事業の譲渡にかかる契約を締結。これに伴い、ハマタイト事業を「非継続事業」に分類し、組替を行っている。
事業利益における増減要因については、変動費の影響で50億円、原料価格高騰で2億円、前期非比継続事業による影響で2億円のマイナス要因があったものの、為替差益19億円、販売量の増加で91億円、製造原価の低減により74億円、価格/MIXで18億円、固定費の低減により21億円、特殊要因の影響で12億円、ATGの伸びで39億円、MBの販売増で9億円、その他プラス要因で12億円の増益があり、過去最高益を実現した。タイヤ事業だけでも183億円の増益となっている。
セグメント別では、タイヤ事業の売上収益は前年同期比26・7%増の2110億1500万円、事業利益は162億7400万円(前年同期は20億1900万円の損失)となった。新車用タイヤは、世界的な半導体不足の影響があったものの、国内・中国における市況の回復により、全体では前年同期を上回った。市販用タイヤは、高付加価値商品の拡販やおう盛な需要への生産対応などといった各種戦略に努め、国内では年初の降雪により冬用タイヤの販売が順調だったほか、海外でも特に北米、欧州およびアジア地域での販売が増加したことで、国内・海外ともに売上収益は前年同期の実績を上回った。
MB事業の売上収益は同4・7%増の402億3800万円、事業利益は同81・6%増の21億1000万円。ホース配管事業は、半導体不足などによる影響があったものの、市況の回復により建機向けおよび自動車向けホース販売が好調に推移した。工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が好調であったものの、海洋商品が振るわず売上収益は伸び悩んだ。航空部品事業では、民需・官需ともに需要減退の影響が大きく、売上収益は前年同期を下回った。
ATG事業の売上収益は同60・5%増の482億3300万円、事業利益は同119・7%増の71億2000万円。農業機械用・産業車両用タイヤといったオフハイウェイタイヤはともに好調で、売上収益は前年同期を上回った。
通期については、売上収益、事業利益、営業利益および四半期利益のいずれも当第2四半期の時点で前回公表予想値を上回ったことから、通期連結業績予想についても、前回発表予想からの上方修正を実施する。修正値は売上収益6550億円(前回予想額6400億円)、事業利益515億円(同500億円)、営業利益735億円(同15億円)、当期利益575億円(同560億円)を見込んでいる。なお、今回の修正に伴う配当予想の変更は予定されていない。