2021年8月25日

【夏季トップインタビュー】ゲイツ・ユニッタ・アジア
萩原豊浩副社長

ニッタの動きと連動
常に先進的な取り組み打ち出す

今年6月にゲイツ・ユニッタ・アジアの副社長に就任した萩原豊浩氏。就任前はニッタの取締役兼執行役員工業資材事業部長の役職に就いており、かつてはゲイツ・ユニッタ・アジアのマネジャーを務めた経験もあることから、両社を熟知した人材の登板となる。

【副社長としての抱負や今後の展開について】
1983年にニッタに入社して以来、37年間ニッタでの業務に携わってきた。2002年から2014年までゲイツ・ユニッタ・アジアでの任務に就いたが、それ以外の勤務は、ニッタの工業資材事業を職域としてきた。ニッタの役員の中で、ゲイツ・ユニッタ・アジアに赴いて業務に携わった経験の持ち主は少なく、そうした経験を生かしながら、事業運営に貢献していければと考えている。

両社における価値観や判断基準などの違いも、それぞれの長所を取り込みながら、相乗効果を引き出せるように発揮していきたい。ニッタは長い歴史の上に立ち、長期的な見通しの下で事業を行っているが、ゲイツ・ユニッタ・アジアは、業績については短期的に成果を引き出していく施策を打ち出す経営指向である。

事業の進め方については、ニッタはグローバルに物事を判断し、ち密なマーケットリサーチの上に立って市場本位の戦略によって事業を動かしてきた。顧客志向の観点から、カスタマイズを強みとしてきたが、そうした利点を生かしながらゲイツ・ユニッタ・アジアでは、これに加えて常に先進的な取り組みを打ち出すことによって効果を上げていく。

【通期に向けた今後の見通しは】
中間期までを見ると、業績は回復基調をたどっており、全般的に計画通りに推移している。自動車用、一般産業用ともに中国やインドが好調で、コロナ禍による過酷な市況ながらインドも上向いており、回復の兆候をうかがわせている。日本は自動車・一般産業の双方で底堅く、ASEAN諸国については、市場によってはロックダウンの実施など先行き不透明な要素を抱えているものの、復調の兆しを見せ始めている。好調な中国も、新型コロナウイルスの変異株の脅威などといった懸念材料は残っているものの、上向く方向性という見方を変えることなく、今後も強気の構えで事業を推し進める。

【市場における課題と、その対応策について】
欧州などを中心に、電気自動車(EV)化の流れが加速しているが、ゲイツ・ユニッタ・アジアが事業領域として取り組んでいるアジア地域においては、まだまだ断片的な動きにとどまっており、当面はドラスティックな市場での変化は起こらないと見ている。EV化への流れに関しては、電動ウォーターポンプなど、EV向けの製品の導入も進めており、EV市場に対する取り組みにも力を入れている。電動ウォーターポンプは、車載バッテリーの温度管理を行う熱マネジメント製品で、EVだけでなく、ハイブリッドカーでも需要があり、製品群の中でも今後の展開をにらんだ製品の一つになるものとして期待している。あまたの製造業においては、原材料の高騰が大きな課題として持ち上がっているが、当社が被っている影響としては部分的な範囲にとどまっている。リプレース市場においても収益を脅かすレベルにまで至ってはおらず、搬送費の高騰などといった市場トレンドに対しても、地産地消という事業を基本体制としていることから問題化していない。

【成長路線の継続に向けて、今後の各国市場の可能性と、市場戦略の方向性については】
日本市場は現段階では成熟化の様相を呈しているが、新市場、新分野の開拓によってまだまだ伸び代はある。一般産業用においては、これまで半導体関連や工作機械向けを中心相手に事業を展開してきたが、時代の流れに乗っている物流機器、自動機器分野などにおいては開拓の余地は十分に残っていると見ている。

一方、中国とインドは市場自体のスケールが大きく、スパンという要因はあるものの、経済成長率の見通しからも期待度は高い。製造面では既にキャパに達しているが、今後を見据えた展開として、当面は新規投資にも留意しながら、ディストリビューターなどパートナーと組むことでも市場のニーズにこたえていく。今後の企業運営の方向性としては、ゲイツ・ユニッタ・アジアはニッタグループの一員であり、スケールメリットを生かしながら、世界的な潮流となっているカーボンニュートラルなどにも向き合っていく。基本的にニッタの動きと連動し、先人の努力により築いた既定路線から外れることなく、全社員の共感を得ることで、高いモチベーションを維持し続けることができる会社として大きな存在感を発揮したい。それぞれの社員が備えた固有のポテンシャルを最大限に引き出す社内ムードを醸成することで、企業としての持続的な成長を遂げていく。